痛風・高尿酸血症の病気について」カテゴリーアーカイブ

痛風と間違えやすい病気

適切な検査を受ければ、誤診の心配はほとんどない

ある日突然、足の親指のつけ根に耐えがたい激痛が走る…痛風発作はきわめて特殊な病気と思えますが、意外にも間違いやすい病気はいくつかあります。

しかも驚いたことに、専門医でも診断に迷うような症状もありますから要注意です。もちろん、最近は、医療技術が向上し、検査機器なども長足の進歩を遂げていますから、誤診の危険性はまずありませんが、いずれにせよ、しっかりした検査を受けることが大切です。
痛風とよく似た症状の病気には次のようなものがあります。

外反母趾

外反母趾は足の親指が外側に反って曲がり、つけ根の関節部分が腫れ上がる症状をいいます。腫れる場所が痛風と同じで」しかも重症になると激しい痛みを伴うのもそっくりなため、素人判断で間違うことがよくあります。

これは、きちんとした検査を受ければ、すぐに判別できるものです。外反母址は遺伝的な要素もありますが、多くは運動や靴が原因とされています。
バレーボールのスパイクのように、高くジャンプして同じ姿勢で着地するような動作を何度もくり返すと、足のつま先に大きな負担がかかり、外反母祉を誘発します。
また、特に女性の場合は、幅が狭いうえにかかとの高い靴をはくため、つま先が常に圧迫され、外反母址の原因になります。

関節に痛みが出る病気は精密な検査が必要

関節リウマチ

リウマチ性の病気は関節に痛みが発生するため、痛風と間違えられやすいのですが、特にまぎらわしいのは関節リウマチです。発症の原因がまだ解明されていないこともあり、十分な検査が必要になります。

痛風と関節リウマチの見分け方の大きなポイントは次の3点です。まず痛風発作の痛みはほとんどの場合、1ヶ所で起こりますが、関節リウマチは体の左右対称の部位など、2ヶ所以上で同時に起こることが多いのが特徴です。
痛みの症状も、痛風発作の痛みは突然激しく襲ってくるのに対し、関節リウマチはジワジワと徐々に強くなっていくのが普通です。
また、初めての痛風発作は足の親指のつけ根など、主に下肢部分に起こりますが、関節リウマチは手、指、ひじなど上肢部分に起こることが多くなつています。このほかに、痛風患者の90%は男性ですが、関節リウマチは60~70%が女性に発症することも見分けるポイントになります。

「偽痛風」は関節部にカルシウムが沈着して起こる

仮性痛風

仮性痛風は「偽痛風」とも呼ばれ、関節が急に痛み出したり、1週間ほどで治まったりと、その名のとおり痛風と非常によく似た病気です。

痛風は尿酸が関節部にたまって発症しますが、仮性痛風はカルシウムが沈着することで起こります。結晶は尿酸の針状に対し、カルシウムはひし形で、レントゲン検査で判定できます。
見分けるには、痛風の場合は痛み足の親指のつけ根など1点に集中するのに対して、仮性痛風の場合は、足全体の関節部に起こる、高齢者に多く、男女差なく起こる、などがポイントになります。

このほか、関節の老化によって起こる変形性関節症、細菌の感染で関節内が化膿する化膿性関節炎なども痛風と間違えやすい病気です。

高風発作はここで見分けるJ
痛風を起こしやすい性別・年齢

90%が男性に起こる。年齢は30 ~50代が多い。女性の場合は外反母祉、関節リウマチ、仮性痛風なども疑ってみる。

痛みが起こる場所

痛みは1ヶ所で起こる。下肢部分がほとんど。2ヶ所以上、上肢部分が痛む場合は、関節リウマチの可能性あり。

痛みの症状

ある日突然、急に激しい痛みに襲われる。ジワジワと徐々に強くなっていくタイプの痛みは、関節リウマチに多い。

本当に危険なのは命にかかわる合併症

痛風治療の真の目的は合併症を予防すること

痛風・高尿酸血症というと、どうしても激痛発作にばかり関心が集まりがちですが、医師の指導を守って薬物療法を続ければ、発作の痛みは改善されますし、発作そのものも起こさないですむようになります。

どんなに発作時の痛みが強いといっても、それによってショック死するような性質のものではありません。しかし、高尿酸血症や痛風を放置しておいたり、治療を勝手に中断したりすると、重大な生活習慣病を合併する危険性が高くなります。

なかには心臓病や脳卒中など、命にかかわるものもあります。痛風・高尿酸血症の治療の本当のねらいは、実は危険な合併症の予防にあるのです。痛風・高尿酸血症に合併しやすい主な病気は次のとおりです。

腎臓病…腎結石や尿路結石ができやすく尿毒症の危険性も

腎臓と尿酸値は密接な関係にあるでも紹介したとおり、体内でつくられる尿酸は腎臓を通じて尿といっしょに排泄されます。しかし、体内の尿酸が増加し、結晶化して腎臓内に蓄積すれば、腎臓の機能は低下します。
そうなれば尿酸値はさらに上昇しますから、腎臓の機能もさらに低下します。尿酸と腎臓はこのように密接な関係にあり、どちらが先であっても、悪循環を引き起こすことになります。

腎臓内に尿酸が蓄積すると、腎結石や尿路結石ができやすくなります。また、腎臓機能が著しく低下すれば腎不全となり、血液のろ過、体内の老廃物の処理ができなくなります。いずれの症状も、放置すると尿毒症を誘発し、命にかかわる場合があります。

症状や個人差によって異なりますが、腎臓に尿酸がたまると、異常なのどの渇きや、夜中に何度も起きてトイレに行く頻尿などの自覚症状がみられます。

高血圧…腎機能の低下から起こるほか、降圧薬が痛風の誘因にも

50代の40%以上、60代の50%以上、70代では60% 以上が高血圧とされています。生活習慣病の中では最も患者数が多い疾患のひとつで、高尿酸血症、痛風患者の多くに合併がみられます。
血圧対策

高血圧は、最高血圧(収縮期血圧、いわゆる上の血圧) が1140mmHG以上、最低血圧(拡張期血圧、下の血圧) が90mmHG以上が診断基準になります。どちらか一方だけでも高血圧と診断されます。痛風に合併して起こる高血圧は、尿酸が腎臓に蓄積することで腎臓の働きが低下して起こる場合もあれば、過食による肥満が原因になっている場合もあります。

また、高血圧の治療に用いられる降圧薬のなかには、尿酸値を上昇させるものがあり、これが痛風発作を誘発するケースもあります。高血圧は、放置すると動脈硬化を促進し、脳卒中や心臓病などの危険性を高めます。
自覚症状がないのも特徴で、「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」などといわれていますから、くれぐれも注意が必要です。〃

高脂血症…発症の原因に痛風おt共通性がある

血液中の脂質の量が異常に多い状態を高脂血症といいます。なかでも特に問題になるのが、コレステロールが多い高コレステロール血症と、中性脂肪が多い高中性脂肪(高トリグリセリド)血症です。

正確な統計はありませんが、高尿酸血症の人の約半数が高脂血症を合併しているとみられます。高尿酸血症の人がなぜ高脂血症を合併しやすいのか、そのメカニズムはまだ解明されていません。

しかし、どちらの症状も、脂肪分の多い食事、過食、肥満、アルコールの飲みすぎなど、共通の危険因子が発症の原因になっていることを考えると、合併しやすいのは当然といえるでしょう。高脂血症は動脈硬化を促進する「主犯格」ですから、進行すると心臓病や脳卒中の危険性を高めます。

糖尿病…痛風を起こす生活は糖尿病も起こしやすい

糖尿病は、血液中のブドウ糖の量が異常に多くなったた状態をいいます。その数億を測ったものが血糖値で、空腹時の測定で126mg/dl以上になると糖尿病と診断されます。

糖尿病の怖いところは病気そのものではなく、全身にさまざまな合併症を引き起こすことです。進行すると、全身の毛細血管や神経組織がボロボロになつて、失明などのほか心臓病や脳卒中の誘因となります。
高尿酸血症がどのようなメカニズムで糖尿病を合併するかは、まだよくわかっていませんが、発症を促進する危険因子は、過食、肥満、アルコールの飲みすぎ、運動不足、高血圧、高脂血症、ストレスなどで、ほぼ1 00% 高尿酸血症と共通しています。
高尿酸血症が進めば、何らかの形で血糖値も上昇させると考えられます。糖尿病は尿酸値を上昇させる腎臓病の原因になるばかりか、動脈硬化を促進する危険因子にもなります。尿酸値とともに血糖値にも十分注意が必要です。

動脈硬化…痛風は動脈硬化の原因となる高血圧などを合併しやすい

動脈硬化は、コレステロールや中性脂肪が動脈の内側の血管壁にこびりつき、動脈の内腔が狭くなったり、硬く変質して弾力性が失われたりする症状です。
糖尿病

動脈硬化が進行すると、狭心症や心筋梗塞といった心臓病、脳出血や脳梗塞などの脳卒中などの重大な病気にかかる危険性が急激に高まります。

動脈硬化を促進させる危険因子には、高血圧、高脂血症、糖尿病、さらには高尿酸血症などの生活習慣病のほか、喫煙、ストレス、運動不足、などの生活習慣があります。高尿酸血症は高脂血症を合併しやすいため、動脈硬化を促進する危険因子となります。

実際、尿酸値が高い人は、正常な人に比べ、心疾患や脳卒中を起こしやすいことが多くのデータで実証されています。

心臓病…動脈硬化の引き金に、狭心症や心筋梗塞が起こる

狭心症や心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)は、心臓の冠動脈が動脈硬化を起こすことで発症します。狭心症は血管内部が狭くなることで、心筋梗塞は血管内部が血栓(血液の固まり)で詰まることで発症します。いずれも命にかかわる病気ですから、最大限の注意が必要です。すでにみてきたように、高尿酸血症が進むと、動脈硬化の直接の原因にもなります。
心臓病の基礎知識

腎臓と尿酸値は密接な関係にある

腎臓は複雑な仕組みで尿酸を排出している

腎臓は、その最も重要な働きである血液のろ過においても、実に複雑な仕事を成し遂げています。たとえば、尿をつくる場合でも、最初は血液をろ過して「原尿」と呼ばれるものをつくり、それを尿細管に送り出します。原尿は尿細管を通る過程でもう一度、必要な成分が再吸収されます。

腎臓は尿をつくる以外にも、血圧を維持・調整するホルモン、骨髄に働いて赤血球をつくり出すホルモンなどを、自らの臓器の中で血液中に分泌しています。

尿酸もこれと同じで、腎臓の糸球たい体でろ過された後、すぐに尿として排泄されるのではなく、再度、尿細管で吸収されます。その後、尿細管を通過しながら再吸収をくり返し、体外に排泄されていきます。排泄される尿酸は、腎臓で処理される尿の10%程度と考えられています。

腎臓がしっかり働かないと尿酸値は上昇してしまう

腎臓には1 日に約1400リットルの血液が流れ込みます。これはドラム缶5本分に相当し、心臓から送り出される全血液量の約20% にあたります。

血液の流出入量を臓器の重量あたりでみると、肝臓の約5倍、脳の約8倍にもなり、全臓器の中で最多となっています。腎臓にはさまざまな重要な働きがありますが、最も大切なものは血液中の不要な老廃物などを捨て、必要な成分を取り戻すこと。
これにより血液も含めた全身の体液が、常に一定のバランスを保つことができます。血液をろ過して、尿をつくり、体内の老廃物である尿酸を尿とともに排泄する働きも、腎臓のそうした働きの一環です。

このようにして、人間の体内でつくられる尿酸の大半は、腎臓を経て排泄されます。ですから、腎臓の働きが低下すれば尿酸値は上昇し、「尿酸排泄低下型」の高尿酸血症を招くことになるのです。

腎臓がつくり上げたろ過と再吸収、排泄というメカニズムは驚くほど複雑で、現代医学もまだその全容を解明できていません。また、エネルギーの燃えカスであり、体にとって害でしかない尿酸がなぜ再吸収されるのかもわかっていません。

いずれにしても、腎臓がしっかり働かなければ、体内の余分な尿酸は排泄されません。排泄されなかった尿酸がどんどんたまり、高尿酸血症、痛風の危険性を高めることは言うまでもありません。

細かく枝分かれした腎動脈が200万個の糸球体を形成

腎臓の形や位置は背中にそらまめの形をしています左右どちらの腎臓からも約30cmの尿ぼ菅が伸びていて、膀胱につながり、尿を運んでいます。
腎臓に入った動脈(腎動脈)は細かく枝分かれして毛細血管になり、それが糸くずを丸めたような糸玉状になって「糸球体」を形成しています。
1個の糸球体からは1 本の尿細管が出ていて、この1セットを「ネフロン」と呼びます。これが血液をろ過して尿をつくる最小単位で、片方の腎臓だけで約100万個のネフロンがあります。このネフロンによる血液のろ過によつて残された不必要な物質は、尿管から膀胱へ運ばれ、再利用できるものは血液中へと再び戻されます。