痛風・高尿酸血症の病気について」カテゴリーアーカイブ

痛風の発作は尿酸値の上昇が原因で起こる

尿酸は一定の量以上に増加すると結晶化する

尿酸が増えると、なぜ痛風発作が起こるのでしょうか。尿酸が代謝に伴ってできる老廃物だとしても、それだけでは痛風の激痛発作に結びつきません。

痛風発作のメカニズムを理解するには、尿酸のいくつかの特性を知る必要があります。尿酸は、ナトリウムと結合して「尿酸塩」という物質を形成し、血液中に存在しています。

正常範囲内の量なら血液に溶けた液体の状態で、固体になることはありません。ところが、体内で過剰に尿酸がつくられたり、尿酸をうまく体外に排出できない場合、体内の尿酸の量は増加します。尿酸はもともと血液に溶けにくい性質があり、一定の量以上に増加すると、結晶化します。

結晶化した尿酸は関節部などに少しずつたまっていきほす。やっかいなのが、この尿酸の結晶です。顕微鏡でみると白くキラキラと輝いており、雪の結晶のように美しいものですが、その形状は鋭く、針のように尖っています。
といっても、これが関節部を刺激して痛みを発生させるわけではありません。痛風発作の激痛には、尿酸とともに白血球が主役級の役割を果たします。

尿酸塩結晶を撃退するため白血球が攻撃を始める

血液中の尿酸が増え続ければ、尿酸塩結晶の関節部への沈着もどんどん進みます。その結果、一部の結晶が関節部に付着しきれなくなり、関節と関節の間の隙間(関節腔)にはがれ落ちます。そもそも結晶は体にとって異物ですから、ほうっておくわけにはいきません。一部がはがれ落ちることで体の防御システムが働き、異物撃退のため、白血球が出動することになります。

白血球は、リンパ球や単球(血管外へ出るとマクロファージになる)などからできていて、体内に侵入してきた柵菌などの異物を食べたり、抗体をつくったりします。体を侵入から守る「免疫」の役割を担っているわけです。

それだけに白血球の力は相当なもので、異物に対しては容赦のない攻撃を仕掛けます。しかし、一方の尿酸塩結晶も負けてはいません。その針のような形で激しく応戦します。この両者の激烈な戦いこそが、痛風の痛みの原因だったのです。

患部が⊥よ赤く腫れ上がるのも、両者の戟いの末の炎症にほかなりません。こうして、白血球と尿酸塩結晶の戦いが激しければ激しいほど、痛風作の痛みも激しく、戦いが長引けば長引くほど、痛みも長引くことになります。

激戦が終われば痛みは嘘のように消失してしまう

戦いはいつか終わります。関節腔内にはがれ落ちた尿酸塩結晶は、激戦の末に白血球に食べられて消滅します。戟いが終われば、痛みも消えます。

あまりの痛さに身動きもできず、何日も寝たきり状態だったのに、ある日、嘘のように痛みがなくなってしまうのは、まさに戦いが終わったという証拠なのです。

しかし、安心はできません。痛風は、ほうっておくと多くの場合再発します。これは、いったん戦いが終わっても、関節部の尿酸塩結晶がすべてなくなったわけではなく、また新たに生成されたりもするからです。高尿酸血症を治さない限り、関節部への結晶の沈着は続きます。高尿酸血症の人は尿酸塩結晶の生成をくい止めるために、生活改善、必要なら薬物療法によって尿酸値をコントロールすることが大切です。

痛風を引き起こす「尿酸」とプリン体の正体

どちらも代謝でできる廃棄物でプリン体は尿酸の原料になる

痛風は高尿酸血症が続くことで起こりますが、「尿酸」とは、そもそも何なのでしょうか。また、痛風が話題になるとき、必ずといっていいほど耳にする「プリン体」とはどんなもので、尿酸とはどんな関係にあるのでしょうか。

簡単にいうと、尿酸もプリン体も古い細胞が新しく生まれ変わるときにできる廃棄物のようなもので、尿酸をつくる原料になるのがプリン体です。

私たちの体をつくつている約60兆個の細胞は、常に古いものから新しいものへと生まれ変わっています。その際、細胞は内部の老廃物を分解して排出し、新たに栄養分を分解・合成して補充します。こうした細胞レベルの分解・合成・再生などの活動を総称して、「代謝」といいます。

尿酸の原料になるプリン体は、細胞の核の中に存在している物質です。

核内には遺伝子を形づくる核酸という物質があり、これが代謝によって分解されると、プリン体がつくり出されます。つまり、プリン体は役目を終えた核酸の残骸ということができます。こうしてできたプリン体は体が出す廃棄物と同じですから、体外へ排出しなければなりません。そのため肝臓にいったん集められ、化学処理されます。こうしてできるのが尿酸はいせつで、最終的に尿や便から体外に排泄されます。

プリン体はエネルギーの燃えかす

プリン体はまた、ATP(アデノシン三リン酸) というエネルギーの発生源になる物質の中にも含まれています。ATPは、手足などの筋肉を動かすのはもちろん、脳や心臓などの臓器をはじめ、全身の器官や組織を働かせるのに不可欠なエネルギー源です。

ATPは、体が代謝活動を行うときにエネルギー源として使われ、分解されます。その分解の過程でできるエネルギーの燃えカスのようなものもプリン体です。これも同じように肝臓で分解されて尿酸に合成され、体外へ排泄されます。

食品から入るプリン体は10~15%

プリン体は体内でつくられるばかりではありません。食物や飲み物などにも含まれていて、物を食べるたびに体内に入ってきます。プリン体は細胞の核の中に存在していますから、動物、植物を問わず、ほとんどの食品の中に含まれています。

なかでも特に多く含まれる食品を「高プリン食」と呼んでいます。尿酸値の高い人は、多くとりすぎないように注意が必要です。しかし、高プリン食は完全に絶たなければなどと、必要以上に神経質になることはありません。プリン体の全体量は、体内でつくられるものが85~90%を占めるに対し、食べ物から入ってくるものは10~15% 程度にすぎないからです。こうしたことを知ったうえで、食生活の改善に取り組むことが必要です。

体内の尿酸の量は一定に保たれている

尿酸は体内で常につくられていて、その量は成人で1日に約750mgとされています。私たちの体は、体内にできた尿酸を分解して処理できないため、通常は酵素の働きでうまくコントロールされています。

体内には常に1200mgほどの尿酸がキープされていて、新しくつくられる分とほぼ同量の尿酸が体外に排出されていきます。尿酸は、職場や家庭で毎日出されるゴミと同じように、日々新たに生み出される一方で、どんどん廃棄されていくようにしくみができ上がっているのです。

痛風は予備群を含めると600万人にもなる

患者数は60万人以上、若者にも急増中

痛風・高尿酸血症の患者・予備軍が急激に増加しています。厚生労働省の調査では、現在の日本人の痛風患者は約16万人ほどとされています。

しかし、これは実態とは大きくかけ離れており、正確な統計はないものの、実際の痛風患者数は30~60万人以上、尿酸値の高い高尿酸血症の人(痛風予備軍)まで含めると、その数は600万人前後にも上るとみられています。

さらに驚くべきは、患者・予備軍の若年齢化です。かつては痛風というと、40代、50代のでっぷり太ったおじさんがなるものというイメージが強かったのですが、最近では若年齢化が急激に進み、初めて痛風になる年齢ではなんと30代が最も多くなっています。
しかも、20代の患者も増え続けており、痛風は若いうちから気をつけなければならない病気となっています。「痛風はおじさんの病気だから関係ない」などと安心してはいられないのです。

歴史上の有名人たちは痛風に泣かされていた

痛風はその昔、王侯貴族などの権力者や裕福な特権階級の人たちがかかる病気として有名でした。そのため「帝王病」とか「ぜいたく病」などと呼ばれ、庶民にはまったくといっていいほど無縁の病気でした。

いかに特権階級であっても、昔は原因もわからず、ただひたすら痛みに耐えるしかありませんでした。それどころか、腎臓に重大な障害を起こし、腎不全から尿毒症を発症して死に至るなど、命にかかわる重い病気と恐れられていたのです。

痛風の危険因子は現代の生活習慣、食習慣そのもの

かつての帝王病が、今なぜこんなに増え、一般化したのでしょうか。実は日本でも、発症するのはもっばら特権階級だったため、痛風はきわめて珍しい病気でした。

それが、高度経済成長が始まる1960年代以降、急激に増加してきたわけです。理由はいうまでもなく、かつてのぜいたくが、現代人にとってはごく普通の生活になってしまったことです。

美食、過食、運動不足、それらが原因で起こる肥満、さらにはアルコールの飲みすぎ、一方では過剰な労働による強いストレスなど、痛風・高尿酸血症を引き起こす危険因子は現代人の日常生活のなかにあふれています。痛風は、もはやだれがかかってもおかしくない「現代病」なのです。

足の親指のつけ根に突然「激痛」が襲う

痛むのは、通常1ヶ所のみ

痛風という病気は、病名にも「痛」の文字が入っているように、激しい痛みが特徴の病気です。「風が吹いても痛い」が病名の由来といわれますから、その痛さは並大抵ではありません。

ひどい場合は歩くことができないどころか、うずくまったまま、身動きができずに寝込んでしまうこともあるほどです。痛みが発生する場所は足の親指のつけ根が最も多く、全体の約70%を占めます。

ひどくなると患部は赤くま腫れあがり、靴をはくこともできなくなります。足の親指のつけ根以外にも、足のけん甲やかかと、くるぶし、アキレス腱、ひざなどに発生する場合があります。下半身ばかりではなく、まれではありますが手の指や甲、ひじなどに痛みが出るケースもあります。

痛みが発生する場所はいろいろあっても、痛むのは通常1ヶ所だけで、同時に複数ヶ所が痛むことはほとんどありません。これは痛風の症状の特徴のひとつで、他の紛らわしい病気との誤診を避けるうえでも大切なので記憶にとどめておきましょう。

尿酸が増えた状態がしばらく続くと発症する

医学が発達した現代では、痛風という病気そのものが命にかかわることはまずありません。健康診断で尿酸値が高かったといっても、それほど神経質になる必要はないわけです。

ただし、注意すべきなのは、ほうっておくと、激痛をくり返すばかりか、重大な生活習慣病を引き起こす原因にもなるということです。
痛風発作は血液中の尿酸の量が増え、ある限界を超えると起こります。尿酸が異常に高い状態を「高尿酸血症」と呼びますが、この数値になれば必ず起こるというわけではなく、普通は尿酸値の高い状態が何年か続いた後に発症します。

高尿酸血症が長く続くと、あふれ尿酸が腎臓や足の指などの関節部にたまり、結晶化します。関節部に結晶化して付着した尿酸は体にとっては異物ですから、これを排除しようとして白血球が出動し、攻撃を加えます。

この両者の戦いが痛風発作(痛風関節炎) の痛みの原因になります。尿酸値の上昇は痛風関節炎のほか、腎臓の障害や痛風結節、最終的には命にかかわる重大な合併症の原因になります。日常的にしっかりと自己コントロールすることが大切です。

激痛が続き何日かして嘘のように痛みが消える

痛風の痛みの持続時間は一定ではありません。が、多くの場合、発作を起こしてから24時間は、痛みが強くなったり持続したりする要警戒の時間帯です。
その後、痛みの症状は徐々にやわらいでいくのが普通で、早くて2~3 日、長い人でも1 週間~10日ほどすると、ウソのように痛みが消えてしまうのが一般的な傾向です。

しかも、初期のころは、痛風発作が起こるのはせいぜい年に2~3 回ほどで、発作が終わるとすっかり忘れている人がほとんどです。のどもと過ぎれば…です。
しかし、これを放置しておくと、次の発作までの期間がだんだん短くなり、発作の回数が増えていくのが通常のパターンです。再発の頻度が高くなるのと同時に、痛みも含めて病気そのものが重症化してしまいます。