和食中心の食習慣に変える

肉食中心の欧米型の食事は尿酸値を上げる大きな原因になる

あなたは肉、とくに霜降り肉やバラ肉など脂肪分の多い肉が好きではありませんか? 和食より洋食を好んで食べていませんか?太っていて尿酸値の高い人の一般的な食事の傾向として、「高たんばく・高脂肪」があげられます。肉食中心の欧米型の食事は、高たんばく・高脂肪食の代表といえるものです。

高たんばく・高脂肪の食事をとり続けていたのでは、尿酸値を下げることは期待できません。肥満も招きますし、動物性食品にはプリン体も多いものです。そこで、痛風および痛風予備軍の人に提案したいのが、和食のすすめ。ここ数年、先進諸国を中心に世界で注目を集めている日本型の食事のよさを見直してみませんか?

従来の日本型の食事は低カロリーで食物繊維が豊富

ひと口に日本型の食事といっても、時代とともに少しずつ変わってきてはいますが、かつてはごはんにみそ汁を基本に、青菜のおひたしやきんぴらごぼう、切り干し大根、おからの妙り煮、煮豆、ひじきの妙め煮などが定番のメニューでした。

少し奮発して魚がつく程度で、日常的には野菜、いも、海藻、豆類、大豆製品のおかずで献立が組まれ、特別な場合を除いて、肉類が食卓に登場する機会はほとんどなかったものです。

もうおわかりと思いますが、従来の日本型の食事は、プリン体やコレステロールなどとは無縁に近く、ボリュームのわりに低カロリーで、食物繊維がたっぷり含まれています。このような食事をしていれば、食事が原因で尿酸値が跳ね上がるようなことは、まずないはずです。

尿酸値コントロールという点に限らず、肥満や生活習慣痛が社会問題化している現代にあっては、体全体の健康を守る食事といっても過言ではないでしょう。

食塩の使用量を減らすなど和食の欠点を改めて毎日の食生活に

ここで間違ってはいけないのは、日本型の食事が絶対的な健康食ではないということです。その最大の欠点は、欧米型の食事に比べて、塩分の摂取量が多いこと。
カルシウムやビタミン(とくにビタミンB1) も不足しがちです。真の健康を味方につけるには、食塩の使用量を減らしたり、不足栄養素を補ったりする工夫が必要です。かつての日本の食事のよさを見直し、欠点を改めて毎日の食生活に生かすことが、何よりも肝心です。
ビタミンB1が多い食品はこちら

日本人の脂肪摂取量はここ50~60年で3倍以上になっている

生活が豊かになるにつれ、動物性食品を中心にした脂肪の摂取量が増えるというのは、世界的に見られる傾向です。もちろん、日本も例外ではなく、脂肪の摂取量はここ50~60年ほどの間に3倍以上になっています。では、その分、何が減ったかというと、主食に代表される糖質で、その摂取量は50年ほど前の約3 分の2。
貧しかった時代は、空腹を満たすことがまずは第一。何品もおかずを並べるなど夢のまた夢で、とにかく穀類やいもでおなかがいっぱいになればよかったのです。

この何十年かの問に穀類偏重が改善されたのは喜ばしいことですが、食生活が豊かになればなったで、今度は肥満や尿酸値コントロールなどに悩む人が増えるとは、なんとも皮肉です。

では、どんなバランスで栄養をとるのがよいのかというと、三大栄養素についていえば、1日の総摂取エネルギーのうち、55~60%% を糖質、20%前後をたんばく質、残りを脂質という配分が理想的とされています。

最近、話題のサルバチア(チアシード)は、「奇跡の食品」として話題を集めています。ではなぜ、サルパチアが「奇跡の食品」と呼ばれるのでしょうか。その理由は主に2つあります。1つは、サルバチアが含有する栄養分の高さです。小さな種子サルバチアに含まれる栄養分は、豊富な青魚の油(オメガ3脂肪酸) のほか、14倍に膨らむ特別な食物繊維、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど多種多彩。しかも、各栄養分の含有量はどれをとっても豊富で、他の食品を圧倒するほど。

二つ目が体内での貯水・排水効果、つまり水分調節効果を高めるのです。より具体的に盲えば、水分を溜め込んだサルバチアはその後、徐々に水を放出し、いわゆる「水切れ」を防ぎます。

食習慣をストレスなくかえる11のポイントはこちら。

摂取エネルギーを減らすための調理の工夫

油は「摂らない!」ではなく「摂りすぎない!」こと

適正な体重を維持するために、食事では、まず高エネルギー食品を遠ざけることが大切です。高エネルギー食品の代表といえば、油です。
動物性、植物性にかかわらず、1 グラムで9kcalもありますから、使い方には十分注意しなければなりません。ただし、油にも油特有の重要な働きがあり、私たちが健康を維持するうえで欠かせない栄養素です。油をまったくとらないと、体のあちこちにトラブルが現れてくることもあります。

また、油を使った料理を極端に避けようとすると、献立に変化もつけにくくなりますし、空腹感が強くなってダイエットも挫折してしまいがちです。油を味方にする、現代人はオメガ9 系を積極的に摂ることで効率よく健康的に痩せる オメガ3、6、9について

油摂取のポイントは、「とらない」ではなく、「摂りすぎない」 こと。そして、適度な分量を、オリーブ油や魚の脂身など、良質の抽から摂取することです。

また、調理上のちょっとした工夫で、いつもの料理をヘルシーに変身させることはいくらでもできます。

薄味は減塩だけでなくダイエットも応援してくれる

油の摂取量を控えるためには、「蒸す」「ゆでる」「煮る」「網で焼く」など、油そのものを使わない調理法を基本に献立を立てるのが手っ取り早いのですが、煮ものについては少し注意が必要です。
砂糖としょうゆでこってりと煮上げた煮ものが食卓にあると、ごはんがすすみませんか?

濃い味のおかずは、塩分の過剰摂取が心配されるばかりか、主食の食べすぎにもつながりやすく、煮もの自体はそれほどカロリーが高くなくても、結果として1食分全体の摂取エネルギーが多くなってしまうことがあります。薄味料理というと、塩分の摂取量を減らす目的ばかりがクローズアップされがちですが、

実はダイエットも側面から応援してくれるのです。煮ものを作るときは、塩、しょうゆ、砂糖などの調味料はできるだけ控え、その分だしはしっかり効かせるなどで薄味でもおいしく食べられる調理を工夫しましょう。
だし汁を利用する

なお、肉の煮ものについては、一度ゆでこぼすか蒸してから煮る、浮いてくる脂をアクといっしょにていねいにすくい取りながら煮る、途中まで煮て脂を冷やし固め、表面に白く固まった脂を除いてから再び火を通して仕上げる、などもエネルギーカットのポイントとなります。手間はかかりますが実行すると効果的です。

油の量を減らす調理の工夫
揚げ物
ころもをできるだけ薄くする(フライよりてんぷら、てんぷらよりから揚げ、から揚げより素揚げに)大きいまま揚げて後から食べやすく切る
炒め物
フッ素樹脂加工のフライパンを使い、妙め油はごく少量に(鉄製のものならよく油慣れしたものを)下ゆでするなど材料の火の通りをよくしておく
焼き物
フライパンで焼かずにできるだけ網焼きにする
サラダ
できるだけ材料を大きく切る(野菜は水切りを十分に)
ドレッシング、マヨネーズの量には注意する

さわやかでヘルシーなイメージのサラダも、油たっぶりのドレッシングやマヨネーズを好きなだけかけて食べたのでは、あっという間にエネルギーオーバーになります。

そこで、ひと工夫。ドレッシングは酢と油の割合を1対3にすることが多いのですが、これでは大さじ1で約100kcal。
ところが、この酢と油の割合を1:1にすると、大さじ1で約60kcal。
1 回に大さじ3ほど使うとして、100kcal以上の差がでてくるのです。大さじ1で100kcal近くあるマヨネーズも3割程度の牛乳やプレーンヨーグルトで伸ばせば70kcalくらいまでエネルギーを落とすことができます。エネルギーを抑えた市販のドレッシングやマヨネーズも上手に活用し、賢く食べてサラダを真のダイエットの味方につけます。

食習慣をストレスなくかえる11のポイントはこちら。

自分の適性な食事量

「食べ過ぎ」でないのに太ることはない

肥満は尿酸値を上げるばかりでなく、高血圧、高脂血症、心臓病、糖尿病といった多くの病気の引き金にもなります。肥満の原因としては運動不足やストレスなどもあげられますが、最大の原因は食べすぎ。太っている人の多くは、必要以上にエネルギーをとっているものです。

運動などで消費する以上に食事でエネルギーをとるから、余分なエネルギーが体内で脂肪に作り変えられ、皮下に蓄積されて、肥満を招くのです。尿酸値を正常にコントロールする第一歩は、自分に必要な1日の摂取エネルギー量を知ることです。そして、そのエネルギー量の範囲内におさまるように、毎日の食事を改めて見直してみる必要があるでしょう。

極端なダイエットはNG!1ヶ月に1~2kgを目指す

自分の適正エネルギー量を求めるときに大切なのが、必ず「標準体重」をベースにするということです。標準体重および肥満度を知る方法はいろいろありますが、一般的によく使われているのは、標準体重算出法の最初に挙げた計算式です。

また、最近はBMI(ボディ・マス・インデックス) という体格指数をもとにした計算式が使われることも増えているので、参考にしてみるといいでしょう。
肥満あるいは肥満の傾向が見られる人は、ダイエットが必要ですが、短期間で急激に体重を落とすのは逆効果です。1ヶ月に1~2kg 減のゆっくりとしたペースで、少しずつ理想の体重に近づけます。

標準体重1kgあたり25~30kcalが1日の目安>

それでは、1日に食べる量をどのくらいにすればやせられるかというと、1日1300kcalに制限してもなかなかやせない人もいますし、1日2000kcalでやせる人もいます。
それだけ個人差が大きいのですが、一般的には標準体重1kg当たり25~30kcalが適正エネルギー量とされます

この範囲に摂取エネルギーをおさめれば、たいていの人は無理なく健康的にやせられるでしょう。ただし、必要なエネルギーは、年齢や生活スタイルなどによっても異なります。

標準体重算出法

  • [標準体重=(身長-100×0.9]
  • [肥満度<%>=(測定体重-標準体重×100]
  • BMI計算式

  • [標準体重=身長×身長×22]
  • [BMI 指数=測定体重÷身長
  • 肥満の測定:18.5~24.9=(標準22) 25以上は肥満

重労働者 スポーツ選手、肉体労働者
1日の摂取エネルギー=標準体重×35~40
中労働者 活発に動く行員、1日中歩いているセールスマン、農林水産従事者(繁忙期)
1日の摂取エネルギー=標準体重×30~35
軽労働者 事務員、一般の店員、主婦、働きの少ない行員、農林水産従事者(閑散期)
1日の摂取エネルギー=標準体重×35~40
肥満者・高齢者
1日の摂取エネルギー=標準体重×20~25

食習慣をストレスなくかえる11のポイントはこちら。

適切な「時」「質」「量」の食事を習慣化する

食事療法の第一のポイントはカロリーオフで肥満解消、現代人に欠かせない食習慣

ひと昔前まで、痛風の治療食といえば、体の中で尿酸に変化するプリン体の摂取制限がかなり厳しく行われていました。ところが、プリン体は食べものから取り入れる量よりも体内で作られる量のほうがずっと多く、しかも食事からとるプリン体の摂取がそのまま尿酸値の上昇に結びつかないことがわかってきた昨今では、プリン体自体の制限に重点をおいた食事療法はほとんど行われなくななっています。

では、現在、痛風の食事療法では何に主眼がおかれているのかというと、「食べすぎない」を基本にした肥満の予防・改善です。肥満が尿酸の排泄を抑制し、尿酸値を上げることにつながるからです。現代人の多くは食べ過ぎです。この食習慣を改善することがまずは先決です。

実際、肥満している人の尿酸値を調べると、「標準体重」 の人よりも必ずといっていいほど高い数値を示します。そして、太り気味で尿酸値が高い人が減量すると、体重の低下とともに、尿酸値も下がってきます。
自分にあったエネルギー量の食事で標準体重をキープすること、これが尿酸値を低くする食生活の基本中の基本といえるでしょう。

栄養バランスをとることや減塩なども必要不可欠

そのほか、痛風の食事療法のポイントとしては、次のようなことがあげられます。

バランスよく食べる
たとえダイエット中であっても、体に必要な栄養素はきちんととることが大切です。できるだけ多種類の食品をとり、たんばく質、脂質、糖質、そしてこの三大栄養素を効率よく吸収させるためのビタミンやミネラルを過不足なく補給しましょう。
アルカリ食品をたっぷりとる
野菜などのアルカリ食品をたくさん食べると、尿がアルカリ性になり、尿酸が尿に溶けやすくなります。痛風では、尿酸の排泄量を増やすために、水分を十分にとるように指導されますが、新鮮な野菜の摂取は、水分補給にも役立ちます。献立に積極的に加えましょう。総じて低エネルギーですから、たくさんとっても、エネルギーオーバーになる心配はあまりありません。梅肉エキスはアルカリ性食品の王様です
プリン体を摂りすぎない
プリン体の厳しい摂取制限は行われなくなってきたと前述しましたが、そうはいっても、プリン体を多く含む食品を好んで食べるのはよくありません。動物の内臓や魚の卵は控えめに。プリン体は水に溶け出す性質があるので、肉を焼いた後の肉汁を料理に使ったり、豚骨や鶏ガラでとったラーメンのスープを飲み干したりしないようにしましょう。
塩分を控える
痛風の人は、高血圧、動脈硬化、糖尿病を併発しやすいもの。合併症を防ぎ、体全体の健康を守るために、塩分の多い食品を控え、料理の味つけも薄味を心がけましょう。塩分を控えると、主食の食べすぎが防げ、ダイエットを側面からバックアップすることもできます。
規則正しく3食とる
やせたいために、あるいは忙しいからといって、食事を抜くようなことはありませんか? 同じカロリーを摂取していても、食事を抜くと、1日3食きちんととったときに比べてエネルギーの貯蔵量が増え、肥満を招きやすくなります。1日3食、できるだけ均等な量の食事を、できるだけ一定の時間に、きちんととるよゝつにしてください。
体脂肪率は見た目ではわからない

最近、「体脂肪率」という言葉をよく耳にしますが、特に肥満体型でなければそれほど気にする必要はないと思っている人が多いことでしょう。

しかし、実際はそうとも限りません。肥満の本来の定義は、「体内の脂肪が過剰な状態」。

たとえ標準的な体重で、外見からは太っているようにみえなくても、体脂肪が多ければ、あなたは立派な肥満なのです。体重オーバーの肥満の人と同様、高尿酸血症や痛風、そのほかの生活習慣病に十分注意しなければなりません。
最近は体脂肪計が普及しているので、ぜひ一度、体脂肪率を測ってみてください。望ましいとされる体脂肪率は、男性は25%以下、女性は30%以下です。かくれ肥満のための知識と肥満の減らし方

痛風と間違えやすい病気

適切な検査を受ければ、誤診の心配はほとんどない

ある日突然、足の親指のつけ根に耐えがたい激痛が走る…痛風発作はきわめて特殊な病気と思えますが、意外にも間違いやすい病気はいくつかあります。

しかも驚いたことに、専門医でも診断に迷うような症状もありますから要注意です。もちろん、最近は、医療技術が向上し、検査機器なども長足の進歩を遂げていますから、誤診の危険性はまずありませんが、いずれにせよ、しっかりした検査を受けることが大切です。
痛風とよく似た症状の病気には次のようなものがあります。

外反母趾

外反母趾は足の親指が外側に反って曲がり、つけ根の関節部分が腫れ上がる症状をいいます。腫れる場所が痛風と同じで」しかも重症になると激しい痛みを伴うのもそっくりなため、素人判断で間違うことがよくあります。

これは、きちんとした検査を受ければ、すぐに判別できるものです。外反母址は遺伝的な要素もありますが、多くは運動や靴が原因とされています。
バレーボールのスパイクのように、高くジャンプして同じ姿勢で着地するような動作を何度もくり返すと、足のつま先に大きな負担がかかり、外反母祉を誘発します。
また、特に女性の場合は、幅が狭いうえにかかとの高い靴をはくため、つま先が常に圧迫され、外反母址の原因になります。

関節に痛みが出る病気は精密な検査が必要

関節リウマチ

リウマチ性の病気は関節に痛みが発生するため、痛風と間違えられやすいのですが、特にまぎらわしいのは関節リウマチです。発症の原因がまだ解明されていないこともあり、十分な検査が必要になります。

痛風と関節リウマチの見分け方の大きなポイントは次の3点です。まず痛風発作の痛みはほとんどの場合、1ヶ所で起こりますが、関節リウマチは体の左右対称の部位など、2ヶ所以上で同時に起こることが多いのが特徴です。
痛みの症状も、痛風発作の痛みは突然激しく襲ってくるのに対し、関節リウマチはジワジワと徐々に強くなっていくのが普通です。
また、初めての痛風発作は足の親指のつけ根など、主に下肢部分に起こりますが、関節リウマチは手、指、ひじなど上肢部分に起こることが多くなつています。このほかに、痛風患者の90%は男性ですが、関節リウマチは60~70%が女性に発症することも見分けるポイントになります。

「偽痛風」は関節部にカルシウムが沈着して起こる

仮性痛風

仮性痛風は「偽痛風」とも呼ばれ、関節が急に痛み出したり、1週間ほどで治まったりと、その名のとおり痛風と非常によく似た病気です。

痛風は尿酸が関節部にたまって発症しますが、仮性痛風はカルシウムが沈着することで起こります。結晶は尿酸の針状に対し、カルシウムはひし形で、レントゲン検査で判定できます。
見分けるには、痛風の場合は痛み足の親指のつけ根など1点に集中するのに対して、仮性痛風の場合は、足全体の関節部に起こる、高齢者に多く、男女差なく起こる、などがポイントになります。

このほか、関節の老化によって起こる変形性関節症、細菌の感染で関節内が化膿する化膿性関節炎なども痛風と間違えやすい病気です。

高風発作はここで見分けるJ
痛風を起こしやすい性別・年齢

90%が男性に起こる。年齢は30 ~50代が多い。女性の場合は外反母祉、関節リウマチ、仮性痛風なども疑ってみる。

痛みが起こる場所

痛みは1ヶ所で起こる。下肢部分がほとんど。2ヶ所以上、上肢部分が痛む場合は、関節リウマチの可能性あり。

痛みの症状

ある日突然、急に激しい痛みに襲われる。ジワジワと徐々に強くなっていくタイプの痛みは、関節リウマチに多い。

本当に危険なのは命にかかわる合併症

痛風治療の真の目的は合併症を予防すること

痛風・高尿酸血症というと、どうしても激痛発作にばかり関心が集まりがちですが、医師の指導を守って薬物療法を続ければ、発作の痛みは改善されますし、発作そのものも起こさないですむようになります。

どんなに発作時の痛みが強いといっても、それによってショック死するような性質のものではありません。しかし、高尿酸血症や痛風を放置しておいたり、治療を勝手に中断したりすると、重大な生活習慣病を合併する危険性が高くなります。

なかには心臓病や脳卒中など、命にかかわるものもあります。痛風・高尿酸血症の治療の本当のねらいは、実は危険な合併症の予防にあるのです。痛風・高尿酸血症に合併しやすい主な病気は次のとおりです。

腎臓病…腎結石や尿路結石ができやすく尿毒症の危険性も

腎臓と尿酸値は密接な関係にあるでも紹介したとおり、体内でつくられる尿酸は腎臓を通じて尿といっしょに排泄されます。しかし、体内の尿酸が増加し、結晶化して腎臓内に蓄積すれば、腎臓の機能は低下します。
そうなれば尿酸値はさらに上昇しますから、腎臓の機能もさらに低下します。尿酸と腎臓はこのように密接な関係にあり、どちらが先であっても、悪循環を引き起こすことになります。

腎臓内に尿酸が蓄積すると、腎結石や尿路結石ができやすくなります。また、腎臓機能が著しく低下すれば腎不全となり、血液のろ過、体内の老廃物の処理ができなくなります。いずれの症状も、放置すると尿毒症を誘発し、命にかかわる場合があります。

症状や個人差によって異なりますが、腎臓に尿酸がたまると、異常なのどの渇きや、夜中に何度も起きてトイレに行く頻尿などの自覚症状がみられます。

高血圧…腎機能の低下から起こるほか、降圧薬が痛風の誘因にも

50代の40%以上、60代の50%以上、70代では60% 以上が高血圧とされています。生活習慣病の中では最も患者数が多い疾患のひとつで、高尿酸血症、痛風患者の多くに合併がみられます。
血圧対策

高血圧は、最高血圧(収縮期血圧、いわゆる上の血圧) が1140mmHG以上、最低血圧(拡張期血圧、下の血圧) が90mmHG以上が診断基準になります。どちらか一方だけでも高血圧と診断されます。痛風に合併して起こる高血圧は、尿酸が腎臓に蓄積することで腎臓の働きが低下して起こる場合もあれば、過食による肥満が原因になっている場合もあります。

また、高血圧の治療に用いられる降圧薬のなかには、尿酸値を上昇させるものがあり、これが痛風発作を誘発するケースもあります。高血圧は、放置すると動脈硬化を促進し、脳卒中や心臓病などの危険性を高めます。
自覚症状がないのも特徴で、「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」などといわれていますから、くれぐれも注意が必要です。〃

高脂血症…発症の原因に痛風おt共通性がある

血液中の脂質の量が異常に多い状態を高脂血症といいます。なかでも特に問題になるのが、コレステロールが多い高コレステロール血症と、中性脂肪が多い高中性脂肪(高トリグリセリド)血症です。

正確な統計はありませんが、高尿酸血症の人の約半数が高脂血症を合併しているとみられます。高尿酸血症の人がなぜ高脂血症を合併しやすいのか、そのメカニズムはまだ解明されていません。

しかし、どちらの症状も、脂肪分の多い食事、過食、肥満、アルコールの飲みすぎなど、共通の危険因子が発症の原因になっていることを考えると、合併しやすいのは当然といえるでしょう。高脂血症は動脈硬化を促進する「主犯格」ですから、進行すると心臓病や脳卒中の危険性を高めます。

糖尿病…痛風を起こす生活は糖尿病も起こしやすい

糖尿病は、血液中のブドウ糖の量が異常に多くなったた状態をいいます。その数億を測ったものが血糖値で、空腹時の測定で126mg/dl以上になると糖尿病と診断されます。

糖尿病の怖いところは病気そのものではなく、全身にさまざまな合併症を引き起こすことです。進行すると、全身の毛細血管や神経組織がボロボロになつて、失明などのほか心臓病や脳卒中の誘因となります。
高尿酸血症がどのようなメカニズムで糖尿病を合併するかは、まだよくわかっていませんが、発症を促進する危険因子は、過食、肥満、アルコールの飲みすぎ、運動不足、高血圧、高脂血症、ストレスなどで、ほぼ1 00% 高尿酸血症と共通しています。
高尿酸血症が進めば、何らかの形で血糖値も上昇させると考えられます。糖尿病は尿酸値を上昇させる腎臓病の原因になるばかりか、動脈硬化を促進する危険因子にもなります。尿酸値とともに血糖値にも十分注意が必要です。

動脈硬化…痛風は動脈硬化の原因となる高血圧などを合併しやすい

動脈硬化は、コレステロールや中性脂肪が動脈の内側の血管壁にこびりつき、動脈の内腔が狭くなったり、硬く変質して弾力性が失われたりする症状です。
糖尿病

動脈硬化が進行すると、狭心症や心筋梗塞といった心臓病、脳出血や脳梗塞などの脳卒中などの重大な病気にかかる危険性が急激に高まります。

動脈硬化を促進させる危険因子には、高血圧、高脂血症、糖尿病、さらには高尿酸血症などの生活習慣病のほか、喫煙、ストレス、運動不足、などの生活習慣があります。高尿酸血症は高脂血症を合併しやすいため、動脈硬化を促進する危険因子となります。

実際、尿酸値が高い人は、正常な人に比べ、心疾患や脳卒中を起こしやすいことが多くのデータで実証されています。

心臓病…動脈硬化の引き金に、狭心症や心筋梗塞が起こる

狭心症や心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)は、心臓の冠動脈が動脈硬化を起こすことで発症します。狭心症は血管内部が狭くなることで、心筋梗塞は血管内部が血栓(血液の固まり)で詰まることで発症します。いずれも命にかかわる病気ですから、最大限の注意が必要です。すでにみてきたように、高尿酸血症が進むと、動脈硬化の直接の原因にもなります。
心臓病の基礎知識

腎臓と尿酸値は密接な関係にある

腎臓は複雑な仕組みで尿酸を排出している

腎臓は、その最も重要な働きである血液のろ過においても、実に複雑な仕事を成し遂げています。たとえば、尿をつくる場合でも、最初は血液をろ過して「原尿」と呼ばれるものをつくり、それを尿細管に送り出します。原尿は尿細管を通る過程でもう一度、必要な成分が再吸収されます。

腎臓は尿をつくる以外にも、血圧を維持・調整するホルモン、骨髄に働いて赤血球をつくり出すホルモンなどを、自らの臓器の中で血液中に分泌しています。

尿酸もこれと同じで、腎臓の糸球たい体でろ過された後、すぐに尿として排泄されるのではなく、再度、尿細管で吸収されます。その後、尿細管を通過しながら再吸収をくり返し、体外に排泄されていきます。排泄される尿酸は、腎臓で処理される尿の10%程度と考えられています。

腎臓がしっかり働かないと尿酸値は上昇してしまう

腎臓には1 日に約1400リットルの血液が流れ込みます。これはドラム缶5本分に相当し、心臓から送り出される全血液量の約20% にあたります。

血液の流出入量を臓器の重量あたりでみると、肝臓の約5倍、脳の約8倍にもなり、全臓器の中で最多となっています。腎臓にはさまざまな重要な働きがありますが、最も大切なものは血液中の不要な老廃物などを捨て、必要な成分を取り戻すこと。
これにより血液も含めた全身の体液が、常に一定のバランスを保つことができます。血液をろ過して、尿をつくり、体内の老廃物である尿酸を尿とともに排泄する働きも、腎臓のそうした働きの一環です。

このようにして、人間の体内でつくられる尿酸の大半は、腎臓を経て排泄されます。ですから、腎臓の働きが低下すれば尿酸値は上昇し、「尿酸排泄低下型」の高尿酸血症を招くことになるのです。

腎臓がつくり上げたろ過と再吸収、排泄というメカニズムは驚くほど複雑で、現代医学もまだその全容を解明できていません。また、エネルギーの燃えカスであり、体にとって害でしかない尿酸がなぜ再吸収されるのかもわかっていません。

いずれにしても、腎臓がしっかり働かなければ、体内の余分な尿酸は排泄されません。排泄されなかった尿酸がどんどんたまり、高尿酸血症、痛風の危険性を高めることは言うまでもありません。

細かく枝分かれした腎動脈が200万個の糸球体を形成

腎臓の形や位置は背中にそらまめの形をしています左右どちらの腎臓からも約30cmの尿ぼ菅が伸びていて、膀胱につながり、尿を運んでいます。
腎臓に入った動脈(腎動脈)は細かく枝分かれして毛細血管になり、それが糸くずを丸めたような糸玉状になって「糸球体」を形成しています。
1個の糸球体からは1 本の尿細管が出ていて、この1セットを「ネフロン」と呼びます。これが血液をろ過して尿をつくる最小単位で、片方の腎臓だけで約100万個のネフロンがあります。このネフロンによる血液のろ過によつて残された不必要な物質は、尿管から膀胱へ運ばれ、再利用できるものは血液中へと再び戻されます。

尿酸値を高いまま放置するとどうなってしまうのだろうか?

症状のない段階から慢性期へ進行は3つの時期に分類される

尿酸値が高い状態をほうっておくと、痛風発作が起こる危険性が高まることは間違いありません。では、その発作はくり返すのでしょうか。くり返すとしたら、どのひんどくらいの頻度なのでしょうか。

さらに、何度もくり返す発作をほうっておいた場合は、どのような事態が待ち受けているのでしょうか。詳しくみていきましょう。
尿酸値が7.0mg/dlを超えると、高尿酸血症と診断されます。
この段階ではほとんどの場合、自覚症状らしきものはありませんが、これが慢性症状、さらには深刻な合併症の併発への入り口になりますから注意が必要です。高尿酸血症から痛風への進行の過程は、

  1. 無症候性高尿酸結症期
  2. 関係性発作期
  3. 慢性痛風期

の3段階に分けられます。

自覚症状がほとんんどない無症候性高尿酸結症期

無症候性高尿酸結症期は、尿酸値は正常値を超えているけれども、症状らしいものは出ていない段階です。症状はなくても高尿酸血症には違いありませんから、治療をするしないにかかわらず、生活改善などの努力が必要です。
怖いのは、定期的な健康診断を受けていないため、尿酸値が高い状態であることに気づいていないケースです。これでは対処のしようがありませんから、そのまま放置され、痛風発作が起きるまで気づかないなどということになりかねません。

痛風発作をくり返す「間欠性発作期」

間欠性発作期は、痛風発作がある期間をおいてときどき起こる時期です。痛風発作は1回で終わりではなく、放置すると確実にくり返します。
最初の発作から次の発作までの期間は尿酸値の高さなどによって、短ければ数ヶ月、長い場合は数年など、大きく異なります。この時期になると治療は不可欠です。もし放置しておくと、発作の頻度は徐々に高くなり、激痛に襲われる回数も多くなります。

「慢性痛風期」になると、痛風結節、合併症の危険性も

慢性痛風期は、痛風が進行して症状が慢性化した時期です。間欠性発作期に適切な治療を受けなかったり、中断したりすると、この段階へ進みます。痛みの発作以外にも、症状が重いことを示す痛風結節が体のあちこちにできるのもこの時期です。

さらに、最も怖いさまざまな合併症にかかる危険性も高まります。医師と二人三脚で、根気よく治療を続けることが求められます。

体内の尿酸量が1000倍にも

尿酸値が基準値の7.0mg/dlを超えても、7.0台にとどまったまま推移している場合は、まず痛風発作を起こすことはありません。しかし、生活習慣を改めないまま放置しておくと、多くの場合、尿酸値は8.0mg/dl台9.0mg/dl台へと徐々に上昇していき、10.0mg/dl を超えることもあります。
そうなると、痛風発作をくり返すなど、症状は慢性化します。症状が重症化したことを示す痛風結節が現れた段階では、血液中に溶解しきれなくなった尿酸が結晶化して体中にたまっています。その尿酸量をトータルすると、正常な人に比べ数百倍、ひどいときは1000倍以上になるケースもあります。尿酸値の上昇に歯止めがかからなくなる前に、しっかりと予防・改善したいものです。

尿酸値が高い場合、2タイプある

最も多い「尿酸排泄低下型」は腎臓の機能低下が要因に

同じ高尿酸血症でも、尿酸値が上昇する要因によって2つのタイプに分けられます。ひとつは体内で尿酸が過剰につくられてしまう「尿酸産生過剰型」、もうひとつは尿酸の排泄がうまくいかずに体内に蓄積してしまう「尿酸排泄低下型」です。

2つのタイプの割合については正確な統計はありませんが、日本人の場合、60%が尿酸排泄低下型で、尿酸産生過剰型は10%程度と少なく、残りの約30%は両者の「混合型」とみられています。

日本人になぜ尿酸排泄低下型が多いのかは、まだ解明されていません。しかし、どんな臓器にもいえることですが、その働きぶり、機能の高低には大きな個人差があります。生まれつき心臓の強い人もいれば、胃腸が弱い人もいます。

つまり、腎臓の尿酸を排泄する能力が体質的に低い人がいるわけで、そういう人は同じように生活していても、高尿酸血症になりやすいといえます。

こうした遺伝的要素のほか、腎臓の病気を経験したり、あるいは高血圧や高脂血症、動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病を発症することによって腎臓機能が低下した場合も、尿酸の排泄は低下します。何らかの病気が尿酸値の上昇を招き、高尿酸血症を引き起こすわけです。
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「尿酸産生過剰型」は生活習慣の乱れが主な要因

一方の日本人には少ないタイプの尿酸産生過剰型は、体質遺伝などの影響とともに、食事や運動などの生活習慣も深く関係しているものと考えられます。

痛風は昔から「ぜいたく病」「帝王病」などと呼ばれてきたように、美食、大食を続けると発症しやすくなります。不思議なことに、プリン体は焼き鳥や魚介類など、酒のつまみに合うような食品に多く含まれます。こうした食品を食べすぎたり、あるいは暴飲暴食をくり返したりしていると、体内のプリン体が増加し、尿酸値の上昇を招きます。

また、激しい運動をくり返して、尿酸の原料となる「エネルギーの燃えカス」が大量につくられると、尿酸値も必然的に上昇します。

これらは、生活習慣から尿酸産生過剰型になっている典型的なパターンといえます。いずれにしても、尿酸の産生と排泄が正常範囲を超えたり、下回ったりすることで、体内の尿酸量は増加し、蓄積を始めます。それが長期にわたると、高尿酸血症・痛風を招くわけです。

尿酸値は尿の酸性度とは無関係

初めて「尿酸値」という言葉を聞くと、「尿の酸性度」を表す数値をイメージしてしまう人が多いのですが、尿酸というのはあくまでひとつの物質で、尿の中に酸が混じった状態などとは全く関係がありません。

医学的には「最終産生代謝物」とされ、その血中濃度を「mg/dl」の単位で表したものが尿酸値で、単位に水素イオン濃度の「pH」を用いる尿の酸性の度合いとは無関係です。

健康な人の尿の酸性度はpH6.0 ほどの弱酸性で、体内の酸性度はpH7.4 程度の弱アルカリ性です。この正常値が尿酸値の正常値とほとんど同じであることも、まぎらわしい理由になっています。しかし、これはあくまでも偶然の一致です。

尿酸値いくつぐらいから薬が必要か?

高尿酸血症とわかったらまずは生活習慣の改善に取り組む

健康診断で尿酸値が7.0mg/dlを超えていれば、高尿酸血症と診断されます。
この段階で「痛風予備軍」ということになります。潜在患者を含めると、予備軍は600万人にも達するといわれますから痛風発症の危険と隣合わせの成人男性は、かなりの割合でいると考えられます。

高尿酸血症と診断されても、尿酸値が基準値の7.0mg/dlを少し超える程度であれば、すぐに痛風発作が起きる危険性はありませんから、あわてる必要はありません。
医師のアドバイスをよく聞いて、当面は生活習慣の改善に努めながら、様子をみることになります。しかし、生活改善の努力をまったくせず、暴飲暴食を続けたりすれば、尿酸値は確実に上昇していきます。そんな状態を放置しておくと、数年から10年以内には痛風発作が起こると考えてまず間違いありません。

「予備軍」というのは、「まだ予備軍だから心配ない」と考えるのではなく、「予備軍なのだから、ほうっておくと大変なことになる」と気を引き締めるべきものなのです。高尿酸血症と診断されたら、それを真正面から受け止め、その日から真剣に生活改善に取り組むようにしなければいけません。

薬が必要になるのはケースバイケース

痛風発作の経験がなく、尿酸値が7.0mg/dlを少し超えたあたりでとどまっているなら、医師も通常なら薬物療法を勧めたりはしません。
では、尿酸値がどのくらいまで上がったら治療が必要になるのでしょうか。実はこれも明確な判断基準があるわけではありません。過去に痛風発作を起こしているかいないかでも違ってきますし、合併症の有無、患者の体質、体調などによっても医師の判断は異なってきます。

尿酸値が8.0mg/dlを超えてくると発作の危険性もかなり高まる

一般的な目安としては、尿酸値が8.0mg/dlを超えると、いつ痛風発作が起こつても不思議ではないと判断されますから、医師から何らかの専門的なアドバイスがなされます。
薬物療法を勧められる場合も出てきます。尿酸値が9.0mg/dl色を超える状態が続く場合は、痛風発作を起こす危険性が極めて高くなりますから、医師の判断で薬物療法を開始する可能性が高まります。
痛風・高尿酸血症の治療に使われる薬について

若さが痛風発症を後押しする

痛風も含めて生活習慣病の「適齢期」といえば、40~50代のいわゆる中高年とされてきましたが、最近は30代の若年層、さらにはそれ以下の小中学生にさえ、さまざまな生活習慣病(の兆候)が広がっています。
特に痛風の場合は、年代別では30代の発症が最も多く、20代にも多発するようになっています。まだ若いからといって油断することはできません。

痛風の発症年齢が若年化した理由はいろいろ考えられますが、根本には、若さにまかせて好きなものをおなかいっぱい食べ、仲間と深酒をする食生活があります。さらに、エネルギッシュに行動するため運動量も多くなり、それが尿酸を大量につくり出す原因になっています。若さが発症を後押ししているわけです。