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薬物療法は医師の指示を守って行う

自己判断による服用の中断は尿酸値の乱高下を招く危険も

痛風発作を起こして病院に駆け込んだ人、健康診断で高尿酸血症と診断されて薬物治療を始めた人、経過はどうあれ、薬物治療を始めたら担当の医師の指示をしっかり守ることが最も大切になります。

尿酸降下薬は概して効果が大きく、きちんと飲めば尿酸値の改善に敏感に作用する一方、使用法を誤ると重大事にもなりかねません。
ここまで解説してきた、痛風・高尿酸血症の治療におけるさまざまな種類の薬は、医師の選択次第で効果が大幅に違ってきます。薬の選択だけではなく、1日の服用量や服用時間なども患者によって微妙に異なつてきます。医師はこうしたことを十分に考慮し、最適な処方を心がけるわけです。

こうした医師の処方箋には、確固とした医学的根拠があります。もし患者が勝手な判断で服用を中止したり、1回の服用量を自己判断で増減したりすると、治療効果が半減するばかりか、尿酸値が思わぬ乱高下をくり返す危険性もあります。そうなると、尿酸値の正常化どころか、コントロールがきかなくなり、治療前よりも危険な状態さえ招きかねません。くれぐれも自己判断で薬をやめたり、薬の量や服用時間などを変え変えないようにしましょう。

尿酸値が安定しても薬の服用の中断は危険

痛風・高尿酸血症の治療は、多くの人が真面目に取り組む一方、自己判断で途中でやめてしまう人も後を断ちません。痛風発作と高尿酸血症の治療はまったく別のものです。よくみられるのが、痛風発作がおさまったとたんに治療をやめてしまうケースです。

これでは発作の根本原因がまったく解決されておらず、いつ再発するかわかりません。もうひとつありがちなのは、「尿酸降下薬を1 年ほど服用したあと、「もう発作の心配もなくなったからいいだろう」と、勝手に服用を中止してしまう例です。

実はこれも非常に危険です。理由は非常に明快で、尿酸降下薬を中止したとたん、尿酸値が再び急上昇し、発作の再発の危険性を高めるからです。治療を始める当初は、痛風の治療は生涯続くという覚悟があっても、1年、2年と痛風発作もなく、定期検診でも尿酸値が正常範囲内にあるとなると、つい油断してしまう人もいるでしょう。仕事の忙しさなどが重なることで、通院がおろそかになるケースもみられます。

薬物治療と生活改善が相乗的に効果を発揮すれば、「薬物治療は一生必要」という常識はひっくり返すことが可能です。本当の意味で薬が必要なくなるまで、自己判断による中止は絶対に避けるようにしたいものです。
痛風・高尿酸血症の治療に使われる薬について

発作時の激痛をやわらげる薬物療法

発作を沈静化する治療は本格的な痛風治療ではない

痛風・高尿酸血症の治療では、尿酸値を正常範囲内にコントロールすることと、高尿酸血症による合併症を防ぐことが最大の目標になります。

しかし、いきなり痛風発作を起こしてしまい、まさに今「風が吹いても痛い」状態でいる人に対して、尿酸値を下げる長期的な治療の必要性を力説しても無益な説教というものでしょう。

痛風発作を起こした場合は、何はまさておき、痛みや腫れを取り除く緊急の治療が必要になります。これは痛風発作を沈静化するための対症療法で、痛風・高尿酸血症を治す根本的な治療ではありません。
一時的に緊急避難をして、落ち着いてから本格的な治療を始めようというわけです。

非ステロイド系抗炎鎮痛薬で発作時の痛みを腫れを改善

痛風発作の沈静化に使われる薬は、主に非ステロイド系抗炎症鎮痛薬です。ナプロキセン、インドメタシン、フェンブフフェンなどいくつかの種類があり、患部の痛みや腫れ、熟などの症状を取り除き、炎症を改善する優れた効果を発揮します。

病状に応じて座薬を使う場合もあります。非ステロイド系抗炎症鎮痛薬は副作用が少ないという特徴もありますかいようが、まれに胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを引き起こしたり、極めてまれな例では大出血や胃穿孔を起こしたりするということも報告されています。

したがって、胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある人には使用しないのが原則です。胃潰瘍などがなくても、ほかの病気で血液を固まりにくくする薬などを使用している場合も注意が必要です。

ステロイド薬もよく使われる、コルヒチンは発作後では効果なしし

胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある場合は副腎皮質ホルモン(ステロイド)薬が使われます。以前は痛風発作の治療に副腎皮質ホルモン薬を使うことはタブーとされていましたが、最近では危険の少ない薬という認識が広まり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍がない場合でも使用する医師が多くなっています。

痛風発作を沈静化するために広く使われていた薬に、コルヒチンがあります。古くから痛風の特効薬とされてきた薬で、ユリ科のイヌサフランという植物の種子や球根の成分を抽出してつくられます。
痛風発作の痛みは尿酸結晶を白血球が攻撃することで起こりますがコルヒチンにはその攻撃を抑えて弱める作用があります。

その結果、痛みや炎症を改善することができます。ただし、コルヒチンは白血球の働きを抑えるため、免疫力まで低下させてしまい、腹痛などの胃腸障害や下痢、毛髪の脱毛などを起こしたりする副作用があります。

さらに、コルヒチンは痛風発作を起こしてからあわてて服用しても効果はありません。こうしたことから最近はコルヒチンを使用する頻度は少なくなっています。

コルヒチンは予感期に飲むと効果がある

コルヒチンは痛風発作を抑える薬としてはほんど使われなくなっていますが、発作を起こす前にのむと、発作を防いだり、軽くしたりする効果があります。

痛風発作を何度か経験した人は、発作が起きる前に「そろそろ危ないな」という予感があます。これを「予感期」といいますが、この時期に飲んでおくと発作の予防効果が期待できます。

そのためため、痛風発作を起こしたことのある患者さんには積極的に処方するケースも見られます。だし、コルヒチンは本文で説明したとおり、白血球の働きを抑えて免疫力を低下させるなどの副作用がありますから、1日1錠にとどめるのが原則です。

症状を悪化させずに、海外旅行を楽しむコツ

日頃の注意を怠らず旅行でストレス解消を

近年、定年退職後、あるいは有給休暇を利用して海外旅行をする人が増えています。

高尿酸血症・痛風の人も、重度でなければ基本的に旅行などを制約する必要はありません。仕事や時間に追われる生活をしばし離れ、リラックスできる時を過ごすことは、ストレス解消に大いに役立ち、症状の回復にも効果が期待できるでしょう。

ただし、これはあくまで日ごろの習慣や注意事項を守りながら、旅行を楽しんだ場合の話です。日常生活を離れることで、だれしも「今日は特別」と気が緩んでしまいがちです。日ごろの努力をむだにしないためにも、リラックスが生活習慣の乱れにつながらないように心がけながら旅行を楽しみましょう。

飛行機内での体調管理は食事や飲み物に気をつけて

海外旅行でまず注意したいのが、飛行機の中での過ごし方です。アジアなど、短時間で到着する場合は問題ないのですが、アメリカやヨーロッパ旅行などで機内泊をする場合は注意が必要です。長時間のフライトになると、生活のリズムが変わり、健康な人でも体調をくずしがちです。

狭い機内で何時間も座り続け、数時間おきに出される機内食を平らげる。また、なかなか寝つけず、機内で放送される映画を見ながら、退屈しのぎにスナック菓子をぼりぼ…このようなことは一般的によくある風景ですが、高尿酸血症・痛風の人にとっては最悪の過ごし方といえます。
旅の初めから痛風発作を起こし、機内で悲鳴を上げるようなことにならないためにも、次の点に注意してください。

食事

退屈しのぎにスナック菓子などを食べるなどというのは言語道断ですが、定時に出される機内食にも注意が必要です。体を動かさない機内では、いつも以上に食事量を控える必要があります。また国際線の航空会社は、たいてい低カロリー、低脂肪の特別食のサービスを設けています。航空券の予約時にリクエストできるので、ぜひ利用しましょう。

水分補給

高尿酸血症・痛風の人にとって、水分補給が重要であることは前に述べたとおりです。機内はとても乾燥しています。トイレが近くなるからと、水分を控えたりせずに、できれば機内にミネラルウォータを持ち込み、水分をたっぷりとりましょう。ただし、じっと座ったまま水分を多量にとると、下半身がむくみやすくなります。ときどき立って歩き、スペースのあるところで軽いストレッチをすることをおすすめします。

睡眠

機内では時間の感覚が狂い、睡眠不足になりがちです。睡眠不足は、疲れをためるばかりでなく、高血圧の人にとって血圧を上げる要因になります。
また、旅行中に時差ぼけによって生活が不規則にならないためにも、機内にいるときから睡眠のリズムを作っていきましょう。機内の飲み物サービスでは、コーヒー・紅茶は控え、どうしても眠れない場合は、軽い睡眠導入剤を利用するのもよいでしょう。

開放感はほどほどにゆったりした旅行プランを

一般的に、旅行中健康障害を起こす主な原因は、「食べすぎ」「寝不足」「アルコール類の飲みすぎ」といわれます。これは、痛風の人が発作を起こすきっかけとなる行動と合致します。

一概にはいえませんが、海外の料理は日本食に比べて高カロリーです。そのような食事を大量にとれば、尿酸値を一気に上昇させる恐れがあります。
また、ヨーロッパなどにはアルコール度の高いお酒が数多くあります。高尿酸血症・痛風の人にとっては注意が必要です。現地の名物料理を、珍しいお酒と一緒にたっぷり味わうことを旅行の醍醐味などとせずに、ゆっくりと異国の街を散策したり、自然に触れて、心身をリラックスさせるような旅にしましょう。

また、せっかくの旅行だからと、旅行のスケジュールをいっぱいに詰め込み、帰国するころには大疲れ、ということはよくある話です。疲れたらひと休みできるくらいの余裕のあるスケジュールを組みましょう。

もうひとつ、現地での注意事項として心にとどめておくべきことは、水分補給が必要だからといって、水道水を生で飲まないことです。日本は、水道水が生で飲める世界で数少ない国のひとつです。海外では、基本的にミネラルウォーターを飲むことをおすすめします。