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地道な生活習慣の改善で尿酸値を下げ、合併症を予防する

必要以上に恐れず、定期健診で尿酸値をチェック

ある日突然、何の前ぶれもなく、激しい痛みが襲ってくる。しかも、治療をしないでほうっておくと、命にかかわる重大な合併症を引き起こす。聞いてだけで、恐ろしくなります。

痛風にだけはなりたくない、尿酸値が高くなったらどうしよう…そんな気持ちにとらわれてしまいます。しかし、必要以上に恐れることはありません。

痛風・高尿酸血症は、体内の尿酸の量の増加によって起こるなど、発症のメカニズムも解明されています。がんやHIV(エイズ)のように、確実な治療法がまだ十分には解明されていない病気ではないからです。根治させる薬はまだありませんが、原因となる尿酸値を正常値まで下げる薬はすでに開発されています。薬物療法を行いながら、生活習慣の改善を実践していけば、十分に予防・改善できる病気なのです。

痛風・高尿酸血症の治療に使われる薬について

そのためにも第一に必要なのは、自分の尿酸値がどれくらいなのか、しっかり把握しておくことです。もし、定期的な健康診断を行っていないのであれば、最低でも年に1回は受けるようにし、他の検査結果も含め、自分の尿酸値のレベルを常にチェックするようにしましょう。
多くのサラリーマンは会社で定期検診を実施しますが、自営業の方の場合、これを行わない人も多いので注意が必要です。

食事を中心にした生活改善が尿酸値コントロールの基本

健康診断で、尿酸値が高めと指摘されても、あわてることはありません。そのときの数値によって対応は異なりますが、医師の指導を受けながら、冷静に対処してください。
痛風・高尿酸血症の治療は、食事療法を中心にした「生活改善療法」と、薬を服用して尿渡値を正常範囲内にコントロールしながら薬物療法を行うのが中心です。

まず、生活改善療法ですが、これは尿酸値が高いとわかったらすぐに開始するのはもちろん、尿酸値の高低にかかわらず、健康を維持・増進するために常に心がけたいものです。

現代人の生活習慣は尿酸値を上昇させる危険因子であふれています。自分ではごく普通に生活しているつもりでも、気づかないうちに尿酸値を上昇させてしまっていることがありますから、まずは生活習慣全般をじっくり見直すことが必要になります。正常範囲を多少超えた程度の尿酸値なら、生活改善を行うことで正常範囲内に戻すことは決して難しくありません。生活改善こそ痛風・高尿酸血症を治療する基本と心得ましょう。

生活改善で尿酸倍が正常になっても、油断は禁物です。継続していかなければ、尿酸値はすぐに上昇に転じます。尿酸値を正常範囲内にコントロールするためにも、他の生活習慣病を防ぐためにも、生活改善を続けることが大事です。

薬の投薬がはじまっても生活習慣の改善は地道に続ける

薬物療法は医師の判断で開始しますが、主に尿酸値が異常に高く、このままでは痛風発作が避けられない場合や、生活改善をしても当分は尿酸値の低下が困難と思われる場合に行われます。

薬物療法は多くの場合、いったん始めると長期間におよびます。医師の指示を守って、根気強く続けることが大切になります。薬物療法を始めると、尿酸値は簡単に下がるため、生活改善を怠る、やめてしまう人が出てきますが、これは禁物。生活改善はあくまで治療の前提です。痛風治療は、長い目で根気よく取り組む姿勢が不可欠です。

腎臓、脳、心臓の障害のほか、糖尿病などの合併症

激痛の改善が最優先だが本当に

痛風という病気の特徴は、なんといっても発作を起こしたときの激痛です。「風が吹いても痛い」というのが病名の由来といわれるほどですから、その痛さはすさまじいばかりで、体験者によってさまざまな表現で伝えられています。

なかでも多いのが、足の指が骨折したと思ったというものです。それまで経験したことのない痛さがいきなり襲ってくるため、考えられる最悪の事態として瞬間的に骨折を思い浮かべるようです。

そのほかでは、鉄の棒で殴られたよう、矢で射抜かれたらこんな痛みなのでは、生まれて初めて脂汗をかいた、車の運転中だったので事故を起こすのではないかと焦った、痛みが上まできたら命はないと思ったなどの体験談がよく聞かれます。

表現こそ違え、痛みの実感はよく伝わってきます。これほどの痛みを伴う病気ですから、痛風というと痛みだけが問題の病気と考えられがちです。しかし、痛風はそれほど簡単な病気ではありません。もちろん、耐えがたい痛みを早急に改善するのは痛風治療の最優先の課題になりますが、本当に怖いのは、痛風・高尿酸血症に伴って起こるさまざまな合併症です。

高血圧、高脂血症などが原因のメタボリックシンドローム

痛風・高尿酸血症の合併症には、命にかかわる重大なものがありますが、その前に気をつけなければならないのは、肥満や高血圧、高脂血症、高血糖(糖尿病)など、重大な生活習慣病を招くさまざまな病気です。意外に思う人もあるかもしれませんが、こうした状態も尿酸値の上昇に伴って起こることがわかっており、痛風・高尿酸血症の「立派な」合併症といえるのです。これらの症状は、最近注目されているメタポリックシンドロームの危険因子でもありますから、特に注意が必要です。

腎臓の機能低下や結石、心臓や脳の血管障害も合併症

高尿酸血症が引き起こす重大な合併症として、まず挙げなければならないのは腎臓病です。体内でつくられる尿酸のほとんどはいは腎臓に運ばれて尿といっしょに排せつ泄されますから、尿酸が異常に増えると、腎臓に障害が起きて、機能が低下します。進行すると腎不全を起こし、命にかかわる場合もあります。また、尿酸の異常な増加は、腎臓や尿路に結石ができる危険性を高くします。
そのほかでは、動脈硬化が主な原因で起こる狭心症や心筋梗塞などの心臓病、脳出血や脳梗塞などの脳卒中など、心臓と脳の血管障害があります。
尿酸値の高い人は、高コレステロール血症や高血圧など、動脈硬化の原因になる危険因子をもっている場合が非常に多くなっています。メタポリックシンドロームとも関連しますが、注意が必要です。

メタボは心臓病の危険性を30倍以上も高める

メタポリツクシンドロームというのは、肥満(内臓脂肪型肥満)に加えて高血圧、高脂血症、高血糖などの危険因子が複数重なると、心臓病や脳卒中などの重大な生活習慣病になる危険性が高くなるという新しい疾患概念です。

いま、中年男性の2人に1 人、女性の5人に1人はその危険性があるとされています。実際、メタポリツクシンドロームの人は、狭心症や心筋梗塞などの疾患にかかる危険性が30倍以上に上がるというデータもあります。

高尿酸血症そのものはメタポリツクシンドロームの危険因子ではありませんが、危険因子である高血圧、高脂血症、高血糖を合併する原因になります。メタポリックシンドロームを防ぐためにも、尿酸値を正常に保ち、これらの合併症を防ぐことが大切です。

ただ痛いだけの痛風だと思ったら大間違い

痛風は知っているけれど「尿酸値って何?」という人が多い

痛風と聞くと、多くの人が「贅沢病ですごく痛いんでしょ?」などとイメージを持っています。誤解が多いとはいえ、痛風という病気の存在は広く知られているようです。

一方、尿酸値について聞かれると、多くの人が首をかしげてしまいます。血圧や血糖値についてはよく知っているし、気にしているけど、尿酸値なんて聞いたことがないとか、尿の酸性度を表したもの? などという珍回答を耳にすることもあります。

実は、この尿酸値が異常に高くなった状態である「高尿酸血症」こそが、痛風を引き起こす要因となるのです。たとえば、血糖値の上昇が糖尿病を引き起こすことは、多くの人が認識するようになってきています。

日本人の新しい国民病といわれるほど患者数の多い糖尿病には、それだけ注目も集まり、認知度も高まっているわけです。しかし、痛風・高尿酸血症に関しては、同じように患者や予備軍が急増しているにもかかわらず、まだそこまでの認識の広がりはありません。

それだけに、痛風に関する予備知識がまったくないまま発作を起こす人も多く、そのあまりの痛さに七転八倒することになります。しかも、突然の激痛の原因がまったくわからないため強い、不安を感じ、精神的にパニック状態に陥ってしまうケースもあります。

症状が出ない高尿酸血症は現代人の生活習慣が誘因に

痛風発作は、ある日突然起こります。その原因になるのが体内の尿酸値の上昇ですが、尿酸値が痛風発作を起こす危険なレベルまで上がっても、自覚症状はほとんどありません。

痛風・高尿酸血症に関する知識がなかったり、定期的に健康診断を受けていなかったりすると、知らないうちにどんどん状態を悪化させてしまう危険性が高くなります。さらに問題なのは、尿酸値を上昇させるさまざまな危険因子が、現代人の生活習慣のなかにあふれていることです。

この点に関しては後で詳しく紹介しますが、たとえば、肥満です。肥満は周知のとおり、あらゆる生活習慣病の温床になります。痛風・高尿酸血症も例外ではなく、肥満の人の尿酸値は高い傾向があります。肥満と関連しますが、過食も尿酸値を上昇させる大きな原因になります。痛風は昔、ぜいたく病、帝王病などと呼ばれ、王侯貴族や一部の特権階級の人たちの間に多くみられました。

これは富と権力を独占した少数の人たちが美食にふけり、満腹するまで食べていたからにほかなりません。それ以外の人々は、痛風になるほど十分な食事はとれなかったわけです。現代人の食事内容は、かつての特権階級の人たちと同じくらい豊かになりました。このような食事を毎日続けていれば、だれもが尿酸値を上昇させ、痛風発作を起こす危険性があります。

酒、ストレスにも要注意、検診での早期発見が大事

このほか、アルコールの飲みすぎ、過重なストレスなども尿酸値を上昇させる大きな原因になります。仕事一筋でストレスをため込み、連日のようにつき合い酒という人も多いことでしょう。

ごく普通にみられる現代人の生活習慣が尿酸値を上昇させ、痛風を招くのです。突然の激痛発作を未然に防ぐには、痛風・高尿酸血症の基礎知識をしっかり身につけ、健康診断を受けて定期的に尿酸値をチェックすると同時に、健康的な生活習慣を確立することが大切です。