糖尿病

糖尿病は、インスリンが不足したり、インスリンの働きが悪くなると起こりますが、自覚症状が無く発症することがほとんどです。そして、さまざまな合併症を引き起こす怖い病気です。インスリンとは、膵臓(すいぞう)の組織から分泌されるホルモンで、血液中のブドウ糖の量、つまり血糖値を低下させる働きがあります。このインスリンの分泌量が減少したり、インスリンの機能が低下すると、糖尿病になります。

糖尿病の状態は

私たちの血液の中には正常な状態でも一定の量の糖が溶けていて、それが全身に運ばれエネルギーとして使われています。この血液中の糖(血糖)の濃度は、成長ホルモンやグリカゴン、アドレナリンなどの血糖を上げるホルモンと、インスリンという血糖を下げるホルモンがバランス良く働くことによってコントロールされています。ところが、インスリンそのものが足りなくなったり、働きが悪くなって、血糖の量が正常よりも増えてしまうことがあります。これを高血糖といいますが、高血糖となってしまった状態が、いわゆる糖尿病なのです。

糖尿病になっても、最初の頃はたいてい自覚症状が無く、尿の中に糖が漏れる「尿糖」が出ることで、初めて自分が糖尿病だと気づくことが多くなっています。

糖尿病の症状には主に次のようなものがありますが、こういった症状を自覚した時には、既に糖尿病がかなり進行した状態です。

  • 口が渇き、水分が欲しくなる。
  • 食欲が増し、特に甘いものが食べたくなる。
  • 一日の排尿の回数が増えたり、一回の排尿の量が増える。
  • 尿のにおいが甘酸っぱい。
  • 全身がだるく、気力が出ない。
  • 手足がしびれたり、目がかすんだりする。

糖尿病のタイプ

糖尿病にはタイプが2つあります。それは、インスリン依存型糖尿病とインスリン非依存型糖尿病の2つです。

インスリン依存型は、若年型とも呼ばれ、先天的にインスリンが不足することから高血糖となるタイプです。一方のインスリン非依存型は、成人型とも呼ばれ、インスリンは分泌されるのですが働きが悪く、糖をエネルギーに変換できずに高血糖となるタイプです。

他の病気などが原因で起こる糖尿病

慢性膵炎や膵臓ガン、膵臓の摘出手術を行ったとき、肝臓病、甲状腺機能亢進症などの病気をした時、また、女性が妊娠した時などにもインスリンの分泌がうまくいかなくて、糖尿病と同じ症状があらわれることがあります。これらは二次性糖尿病といわれるものですが、この場合には、原因となっている病気の治療や改善とあわせて、インスリン依存型糖尿病と同様の治療が必要です。

急性膵炎

高トリグリセライド血症の中年男性にとっては、急性膵炎(きゅうせいすいえん)はとても恐ろしい病気です。暴飲暴食、特にアルコールの摂りすぎは禁物です。

膵臓(すいぞう)は、長さが15センチほど、重さは70~100グラムくらいの大きさで、胃の裏側あたりにある臓器です。炭水化物や脂肪、たんぱく質を消化するための消化液を作り、そのほか、インスリンなどのホルモンを作る働きもしています。

急性膵炎の症状とは

急性膵炎は、上腹部に突然激しい痛みが出て、嘔吐を繰り返します。痛みの原因は、何らかの原因により、膵臓が自分が出す消化液で自分自身を溶かしてしまうことです。緊急に適切な処置を行わないと、とても危険な状態に陥ってしまう恐ろしい病気なのです。

急性膵炎になると、まず、みぞおちから左の肋骨(ろっこつ)の下のあたりに沿って、激しい痛みが突然襲ってきてそれが持続します。そして、多くの場合、痛みは次第に左の背中へと移ります。症状がひどくなると、上腹部が腫れて、嘔吐を繰り返します。また、脱力感や脈拍の促進を伴い、ショック症状を示して、膵卒中を起こすことがあります。急性膵炎の発作を起こした場合は、至急、医師の診断と処置が必要です。

急性膵炎の発作には痛みに波がなく、だんだんと痛みが強くなります。痛みで冷や汗をかき、軽い黄疸や下痢の脱水症状が見られるといった場合には、緊急入院する必要があります。処置が遅れると、腹膜炎を併発し、最悪死に至ることもあります。

脂っこいものとお酒が大好きな人は要注意

この病気は、30歳代以降の中年の人、そして、女性より男性に多く起こります。また、アルコールを飲み過ぎる人や胆石を持っている人にも多く、お酒を飲み過ぎた後や、空腹時に脂っこいものを食べたりすると激しい腹痛が起こることがあります。暴飲暴食や過労が引き金になっていると考えられています。

特に注意が必要なのが、脂肪の摂りすぎ、お酒の飲みすぎです。脂の多いものを食べたり、アルコールを大量に飲んだ後、また、普段お酒を飲まない人が飲んだ後などに、急性膵炎を起こしやすいことがわかっています。

痛風

痛風(つうふう)は中年以降の男性に多い病気として知られていますが、若い人にも見られるようになりました。痛風についての詳細はちら。いつも美味しいものを食べ、美味しいお酒を飲んでいる人がかかる病気だとされ、昔は「ぜいたく病」などといわれていましたが、生活が豊かになり食生活も変化した日本では、現在では誰でもかかる可能性がある病気なのです。

ビール好きの人には耳の痛いかもしれませんがビールは痛風の大敵です。
働き盛りの中年の男性、女性共に量には注意しなければいけません。

痛風の症状とは

文字どおり、風が吹くだけでも痛いというほどの激痛を伴います。初めて痛風の発作を起こす人のうち70パーセントくらいは、足の親指のつけ根に突然激痛が走るといいます。そして、いったん痛風の発作が始まるとキリキリと痛み、まわりのちょっとした振動などでも痛むといわれます。

痛みがあらわれる代表的な部位は足の親指のつけ根ですが、発作は、そのほかの部位にも起こります。それは、足の甲やかかと、くるぶし、アキレス腱の辺りやひざです。これらのように下半身が痛むことが多いのですが、上半身に発作が起こった場合は、かなり重症な状態のようです。上半身では、手の指、手首、ひじや肩に痛みが出ます。

痛風が進行すると、尿路結石や腎臓病、高脂血症(脂質異常症)などの合併症が起こり、やがては心臓病も引き起こします。

激痛の正体

血液中に尿酸が増えると、過剰な分は関節や腎臓にたまって結晶化します。すると血液中の白血球がそれを異物だとみなし攻撃を始めるのですが、これが、激痛のもとなのです。

痛風の発作は激しくて、体を動かすこともできないくらいの痛みがあると知られています。この激痛は、放っておいても数日~1週間ほどで治まりますが、そのまま放っておくと関節炎を伴って再発する可能性が高くなります。

尿酸は、細胞の新陳代謝の過程で生成される廃棄物のような物質です。体内では常に生成されていて、体外からは食物と共に摂取されています。もとになっているプリン体は、食品やアルコールなどに含まれています。通常、尿や便の中に排泄されますが、何かの原因で尿酸の生成が増えると血液中に尿酸が溶け出し、血中尿酸値が高くなります。

患者は男性がほとんど

痛風になるのは圧倒的に男性が多くて、患者数のおよそ90パーセントを占めています。女性に痛風患者が少ないのは、男性と比べて少ない血液中の尿酸量や、尿酸値を下げる働きがある女性ホルモンのおかげです。代謝性の病気の中で、男性と女性の患者数がこれほど違う病気はありません。

特に痛風にかかりやすいのは、次に挙げるような人です。

  1. 中高年の男性
  2. 大食の人
  3. 飲酒(特にビール)が習慣になっている人
  4. 尿酸値が高い人
  5. 近親者に痛風患者がいる人

痛風を食事で改善する方法はこちらです。

脂肪肝

肝臓は、体の中で代謝や解毒などを行っている大切な臓器です。この肝臓に脂肪(トリグリセライド)が溜まりすぎた状態を「脂肪肝」といいます。

肝臓の状態

肝臓は私たちの体の中では脳の次に大きな臓器で、上腹部にあり、ほとんどの部分が肋骨の下に隠れます。男性と女性でも違いますが、成人の場合で肝臓の重さはだいたい1,000~1,500グラムもあります。正面から見ると、ほぼ真ん中あたりを境に右葉という大きな部分と左葉という少し小さな部分に分かれています。

肝臓には、門脈という太い静脈と肝動脈のふたつの主な血管から血液が絶えず流れ込んでいて、さまざまな処理が行われています。肝臓の働きの中には、摂りすぎた脂肪やタンパク質をグリコーゲンや脂肪として蓄える働きがありますが、正常な肝臓には5パーセントくらいの脂肪が存在します。その脂肪が増えすぎて肝臓全体の30パーセント以上蓄積された状態が脂肪肝です。

脂肪肝の症状とは

肝臓は、4分の3の大きさを切り取ったとしても、元のように再生するという優れた能力を持っています。肝機能の働きが良ければ、残った正常な細胞が新しい細胞を作り、失った部分を再生してくれます。また、肝臓は「沈黙の臓器」と表現されますが、これは、肝臓がとても丈夫な臓器だからです。かなりのダメージを受けるまで、音をあげないのです。

しかし、脂肪がたまりすぎると、脂肪を抱えた肝細胞は代謝や解毒といった働きをじゅうぶんに行えなくなります。そうすると、いくら丈夫な肝臓だといってもダウンして、警告を発します。

脂肪肝になると、食事直後に膨満感があったり、便秘をしたり、疲労感があったり、吐き気を催したりします。ただ、こういった症状は脂肪肝だけにみられることではなく、肝臓病の一般的な自覚症状とほぼ同じなのです。また、肝臓が大きく腫れますが、体の外側からは異常を見分けるのが困難です。

脂肪肝の主な原因

脂肪肝の原因には、肥満、アルコール、食べ過ぎ、糖尿病、運動不足などが挙げられますが、脂肪肝の人のおよそ70パーセントが肥満またはアルコールが原因であることがわかっています。肝臓にたまる中性脂肪は、食事から摂る脂肪だけでなく、糖質やアルコールから肝臓でも合成されるので注意が必要です。高カロリーの食事をとったりアルコールをよく飲む人は、その結果、脂肪(中性脂肪)を多く摂取することになって、脂肪肝になります。

脂肪肝についてもう少し詳しく

高血圧症

血圧を管理する

血圧は、血管内を血液が流れる時に血管にかかる圧力のことで、最高血圧と最低血圧を測定します。最高血圧とは心臓が収縮して血液を動脈に送り出す時の血圧であり、収縮期血圧ともいわれます。心臓が収縮すると心臓から動脈へと血液が押し出されて血圧が上がります。最低血圧は心臓が拡張して血管にかかる圧力が少なくなった時の血圧を指し、拡張期血圧ともいわれます。心臓が拡張すると動脈内の血液が減り、血圧が下がります。

このように、血圧は、心臓の収縮力や血管の緊張、弾力性、血液の容積などによっても変化します。また、一日の生活の中でも変動し、その時の体調はもちろん、季節や天候なども影響するのです。

収縮期血圧が140mmHg未満、拡張期血圧が90mmHg未満の値(日本高血圧学会、高血圧治療ガイドライン2009年版)で血圧は正常だとされていますが、これは病院などで測った場合です。病院などで測定すると緊張してしまって、その人の本来の血圧よりも値が高く出てしまう人もいることから、家庭で測る家庭血圧も注目されています。家庭血圧の正常値は、収縮期血圧が130mmHg未満、拡張期血圧が85mmHg未満とされています。

血圧を測るのは利き腕と反対の腕です。正確に測るためには、少なくとも15分間は安静にしてからの状態で測るのが良いでしょう。家庭で血圧を測ったら、毎回その数値を手帳などに記入しておくと、病院へ行った時に参考になります。

血圧が高くなると、さまざまな病気の引き金となります。自分の血圧が正常な範囲内にあるように血圧の管理をおこなって、脳卒中や心臓病などを予防しましょう。

高血圧は心臓を肥大させ動脈硬化の原因になる

血液にはタンパク質や脂質などが含まれていて、液体といっても、かなり粘度が高いです。この粘度の高い液体を毛細血管のすみずみまでスムーズに送るためには、大きな力が必要です。

血圧が高くなると、それまで以上に血液を送り出す力を大きくしなければならないため、心臓は肥大します。血管にかかる負担も大きくなって、動脈硬化が促進されてしまい、血管は詰まりやすくなったり、破れやすくなったりします。

高血圧の原因となること

高血圧症の原因にはさまざまなことが考えられますが、最大の原因となるのは塩分の摂りすぎです。食塩はナトリウムと塩素からできていますが、ナトリウムには体内の水分量を適切に調節する働きがあり、水分と結合する性質があって、血液中のナトリウムが増えると水分も増え血圧が上がります。高血圧の人の場合、1日の塩分摂取量は6グラム未満(日本高血圧学会、高血圧治療ガイドライン2009年版)が目標です。

そのほか日常生活で気をつけることは、規則正しい生活をすることをはじめとして、処方されている降圧剤はきちんと飲む、アルコールやたばこを控える、適度な運動をする、防寒対策をする、などです。

血圧を下がった!

降圧剤でなかなか下がらなかった血圧が体質に合った食材や健康食品で下がったという実際の体験談です。自分の体質に合うものと出会うことで副作用の多い降圧剤を使わずに血圧を下げることになります。

脳血管障害(脳卒中)

脳血管疾患も中性脂肪と関わりがあります。脳の血管が動脈硬化になることで、脳出血や脳梗塞(のうこうそく)など脳血管障害がおこります。

脳卒中

脳卒中は、脳の血管が破裂して出血したり、血管に血液が流れにくくなったり、血管が詰まったりする病気のことで、種類がいくつかありますが、それらをまとめてそう呼びます。いつも元気だった人が、ある日、突然倒れて、半身麻痺(まひ)などの障害を起こしたり、死に至ることもある恐ろしい病気なのです。

脳卒中は、脳出血と脳梗塞のふたつに大きく分けられます。脳出血では、脳自体の血管が破れ出血が起きたり、脳のくも膜の下にできた動脈瘤が破裂し出血(くも膜下出血)が起きたりします。脳は、硬膜・くも膜・軟膜という3層の膜に包まれていて、これらの脳膜の間に満ちた髄液が外部からの衝撃を和らげていますが、くも膜下出血は、くも膜と軟膜の間で出血が起こります。脳梗塞では、動脈が硬化して狭くなった脳の血管に血液のかたまりが詰まったり、血管が完全に塞がれたりします。一時的に起こり脳梗塞の前触れともいわれる一過性脳虚血発作もあります。

中年で高血圧の人は脳出血に注意

脳出血は40歳~50歳代の中年の人によく見られる病気で、特に男性に多いです。また、高血圧の人(特に最低血圧の高い人)によく起こるため、高血圧性脳出血ともいわれます。日中の活動中に急に意識を失うなど、何の前触れもなく突然起こることが多く、後に、片方の手足の麻痺などの運動障害や言語障害が残ってしまいます。大量に出血した場合には、倒れた時にいびきをかいて、深い昏睡状態に陥ります。

脳梗塞の種類

脳梗塞には、脳血栓症と脳塞栓症があります。脳血栓は、動脈硬化によって太い血管に血液のかたまりができ、徐々に血管が詰まっていって、その先に血液が流れなくなります。これを「アテローム血栓性梗塞」といいます。また、細い血管に起こった場合は「ラクナ梗塞」といいます。脳塞栓は、心臓にできた血液のかたまりが脳まで流れてきて血管が塞がれる「心原性脳塞栓症」があります。

狭心症と心筋梗塞

冠動脈の虚血で起こる心臓の病気

心臓に酸素や栄養を運んでいる冠動脈がありますが、この冠動脈が、狭くなったり詰まったりして血液の流れが悪くなると、突然に、胸の痛みなどの発作が起こることがあります。これが、狭心症や心筋梗塞という病気です。この、血液がじゅうぶんに流れなくなる状態を虚血(きょけつ)といい、こうして起こる病気は、虚血性心疾患と呼ばれます。

狭心症や心筋梗塞の発作は、ある時突然起こり死に至ることもある、心臓の危険な病気なのです。

ちなみに、冠動脈から心臓に供給される血液の量は、1分あたりにおよそ250ミリリットルです。これは心臓が送り出す血液量の4パーセントほどですが、酸素の消費量は、全身の消費量のおよそ11パーセントを占めています。このように、休み無く動いている心臓は、安静時であっても、ほかの臓器の3倍近い酸素を必要としています。

狭心症のタイプ

冠動脈が粥状硬化して、動脈内の断面積の70パーセントくらいが狭くなると、血流が悪くなったり、一時的に途絶えてしまうことがあります。こういった虚血状態で起こるのが狭心症です。この狭心症には、何かの動作をした時に発作が起こる労作性狭心症と、何もしていない安静時でも発作が起こる安静時狭心症のふたつのタイプがあります。

狭心症の発作

労作性狭心症では、例えば、階段を駆け上がった時、靴を履こうとして屈んだ時などの動作がきっかけとなって発作が起きます。原因は、動脈硬化で冠動脈が狭くなり、運動時などに心筋が酸素不足になることだとされています。

一方の安静時狭心症では、夜寝ている時など安静にしている時に発作が起きます。安静時狭心症は、冠動脈が強いけいれんを起こすことが原因だとされていて、特に夜間から早朝にかけて多いという特徴があります。

ただ、労作時と安静時のどちらかだけに発作が起こるのではなく、いつ起こるかわからない人もいます。

狭心症の発作が起こると、胸の中央部に締め付けられるような痛みや重苦しさがあります。ときには、顎や首、左の肩や上腕にも痛みを感じることがあります。痛みが続くのは数十秒から数分で、長くても15分ほどです。そして、この痛みは、ニトログリセリンという舌下剤を服用すると治まります。

心臓の筋肉が壊死する心筋梗塞

動脈硬化などで狭くなっている冠動脈に血栓(血液のかたまり)ができ、心筋梗塞が起こります。血栓が詰まってしまった血管の先にある心臓の組織(筋肉)に酸素や栄養が供給されないために、心筋は壊死します。

狭心症の発作の間隔が短くなり回数が増えたり、痛み方が徐々に強くなったりする、発作が起きたときに顔面が蒼白したり嘔吐(おうと)する、こういった症状が出るようになると、心筋梗塞になる可能性が高くなります。

心筋梗塞の発作は、突然に起こることが多く前兆があるとは限りません。しかも、胸の痛みは狭心症とは比べものにならないほどの激痛で、時間も30分くらい続きます。

定期検診で予防する

痛みが何もなかったり、体の調子が悪いと感じなくても、狭心症や心筋梗塞を起こしている場合もあります。40歳を過ぎたら、できるだけ年に1度は健康診断を受けたいものです。定期的に健康診断を受けることが、こういった病気の予防になります。

動脈硬化と高脂血症の治療

まずは食事療法と運動療法

高脂血症(脂質異常症)になる原因には動脈硬化があります。合併症の有無やその病状にもよるのですが、動脈硬化を改善するには、食事療法と運動療法を中心とした一般療法が行われます。3ヶ月、6カ月、または1年ほどかけて一般療法を行いますが、もし良好な効果が得られなかったときには、薬物療法が行われます。ただ、一般療法をやめてしまうわけではなく、薬物療法も併用して行うことになります。

動脈硬化が進行している場合、また動脈硬化の危険因子を多く持っている人の場合には、薬物療法を早めに併用することになります。特に、コレステロールや中性脂肪の数値が低くても、合併症などの危険因子が多い場合は、積極的に薬物療法を行います。

動脈硬化になっていなくても、コレステロールや中性脂肪の数値が高い場合には、薬物療法を行う必要があります。

高脂血症の薬物療法

高脂血症(脂質異常症)の治療を行う薬物療法では、使用する薬の種類は高脂血症のタイプによって異なります。薬物療法を開始するとき、どのタイプの薬を使用するかは、その人の高脂血症のタイプのほか、年齢、性別、症状の程度や合併症の有無も考慮されます。また、血清脂質の治療目標値も変わってきます。

総コレステロール値が高い場合(タイプⅡa)や中性脂肪値が高い場合(タイプⅠ、Ⅳ、Ⅴ)は、それぞれの値を下げるタイプの薬を用い、どちらの値も高い場合(タイプⅡb、Ⅲ)には、両方に効果が見込める薬を用います。

治療に使われる薬には、細胞への脂質の吸収を防ぐための薬や、肝臓などでの脂質の合成を抑えるための薬、肝臓からの排泄を促進させる薬があります。

薬物療法がうまくいくかどうかは、薬の効き目だけでなく、患者の養生の仕方にもかかっています。調子がよいからと勝手に薬の服用をやめてしまうと、数値が急激に上がったり、元に戻ったり、以前より高くなってしまったりなど、リバウンドする危険性があります。

動脈硬化や高脂血症の薬物療法は、狭心症や心筋梗塞などの病気を予防する目的で行われるので、医師の指示に従い、血清脂質の検査を定期的に受けながら、薬と付き合っていかなくてはなりません。

動脈硬化とはどんな状態か

血液中の脂質が異常に増えた状態である高脂血症(脂質異常症)は、動脈を硬化させる原因になります。血清脂質の異常を早期に発見することが大切ですが、では、動脈硬化とはどういったものなのでしょうか。

動脈の構造

人間の体内には動脈と静脈という血管が張り巡らされています。動脈は心臓から送り出される血液を全身に運ぶ経路で、静脈は末梢組織から心臓へと戻ってくる経路です。動脈には心臓から送られた酸素や栄養を全身の組織へと運ぶ血液(動脈血)が流れていますが、この動脈血には高い圧力がかかっていて、動脈自体が弾力のある筋肉の管になっています。

動脈は、血管径の大きさと中膜の弾性線維の量から、大動脈などの大型動脈、冠動脈などの中型動脈、直径2ミリ以下で臓器の中にある小型動脈に分けられます。そして、血管の内側から順に、内皮細胞、内膜、内弾性板、中膜、外弾性板、外膜で構成されています。

動脈硬化の状態は

動脈硬化とは、文字どおり、動脈の壁が硬く変化してしまったことをいいます。血管の壁が厚くなり、血管そのものの弾力が無くなってしまい、血管がもろくなった状態です。

初期には症状が現れず、動脈の硬化の程度が進んで悪化してくると肩こりや頭重を感じるようになり、胸が痛んだりするようになります。

動脈硬化が起こる原因は、動脈の場所によって異なるのですが、高脂血症(脂質異常症)が原因となって起こる動脈硬化を粥状(じゅくじょう)硬化といいます。この粥状硬化は、心筋梗塞や脳梗塞といった恐ろしい病気を引き起こします。胸部大動脈や冠動脈などの大型・中型の動脈に起こり、血管にアテロームと呼ばれる瘤(こぶ)をつくります。

粥状硬化のほかにも、石灰化を起こし糖尿病の人に多く見られる中膜硬化や、高血圧と関係が強い細小動脈硬化があります。

動脈硬化が起こす成人病

動脈硬化は全身の動脈で起こり、さまざまな成人病の引き金となります。動脈硬化が大きな原因のひとつだと考えられている成人病には、狭心症や心筋梗塞、脳出血や脳梗塞、高血圧症、糖尿病、腎臓病などがあります。

動脈硬化にならないようにするには、食事や運動といった日常生活の改善が必要になります。

血清脂質は加齢とともに増加する

男性は中年になると血清脂質が増加

血清脂質は普通、年齢を重ねるに連れて増加してくるものですが、男性の場合は特に、30歳を過ぎた頃から急に中性脂肪やコレステロールが増えてきます。そして、60歳ぐらいまでの間に、血清脂質は20~30mg/dlも増加します。その後70歳ぐらいには減少していくことがわかっています。

また、中年の男性が太ってきた時は、高コレステロール血症や高トリグリセライド血症になる可能性があります。このことから、男性は、定期的に血清脂質や血圧の検査を受けるとよいでしょう。それから、中高年を迎えた男性は、動脈硬化や狭心症、心筋梗塞などの病気の危険性が高まりますから、日頃から血清脂質の変動に注意しておき、食事や生活習慣にも気をつけましょう。

女性は閉経後に血清脂質が増加

女性の場合、普通、思春期から閉経期ぐらいまでは、男性と比べると血清総コレステロール値や血清トリグリセライド値は低く、血清HDLコレステロール値が高くなるので、動脈硬化たや高脂血症(脂質異常症)になる割合は低くなります。

ただ、その後、閉経期を迎える50歳前後になると、エストロゲンという女性ホルモンの働きが低下するため、急に血清コレステロール値が高くなります。また、中性脂肪も増えるので、高トリグリセライド血症にもなりやすくなってくるのです。

妊娠した女性がコレステロールの値が高くなることがありますが、これはホルモンのアンバランスによる一時的なものです。しかし、異常に高い数値が続く場合には、治療しなければならない可能性があります。
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血管の老化は生活習慣によって差が出る

人間の体の老化の速度が特に早いのが血管です。血管の老化は、脳や心臓にも影響を及ぼし、老化を早めます。このように、老化現象というのは、細胞が活発に活動している脳、心臓、血管から早く始まります。

私たちの血管の老化は、母親の胎内にいる頃から既に始まっています。誕生後にもそれはずっと続き、たいてい中年以降にその影響が大きく現れることになります。

ただ、血管の老化の進行のしかたや程度は、個人個人の食生活や生活習慣に大きく影響されます。老齢の人でも血管が若々しい人もいるし、その逆の人もいます。このことから、人は血管とともに老いるといわれ、血管年齢を若く保つことが健康の秘訣だということがわかります。

血管はもっと若返るを参考にしたい!