ストレスがたまると中性脂肪とコレステロールが増える

過剰なストレスの持続が動脈硬化の誘因に

ストレスとは、私たちの体に何らかの外的な刺激が加えられたとき、それに対する心身の反応の状態をいいます。ストレスがかかっても一時的な状態ですぐに解消されるものであれば特に問題はないのですが、ストレスが強い場合やそれが続くようなことになると、精神的にはもちろん、肉体的にもさまざまな問題が起こってきます。

ストレスの原因となることが同じだった場合でも、ストレスの感じ方というのは人によって異なります。それは、そのときの心理状態や身体状況、その人の性格や価値観などが異なるからです。

ストレスをかかえた状態では、血圧が上がり、脈拍も多く、血液がドロドロと固まりやすくなります。それが続くと、やがては動脈硬化になって、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった病気を起こすことになります。つまり、ストレスは心臓疾患や脳疾患といった命の危険に結びつく病気の危険因子となってしまうのです。

ストレスで悪玉コレステロールが増加

ストレスが強かったり、解消できずにずっと持続していると、自律神経の異常によってホルモンの分泌にも異常をきたします。過激なストレスがあると、特に副腎皮質刺激ホルモンと甲状腺刺激ホルモンが影響を受け、血液中に遊離脂肪酸が多く放出されるのです。

そして、遊離脂肪酸は、肝臓で中性脂肪とコレステロールに合成され血液中に入り込むので、血清トリグリセライド値と血清コレステロール値が高くなります。

こうした状態が続くと、血液中にLDL(悪玉)コレステロールが増加し、HDL(善玉)コレステロールが減少してしまいます。

ストレスが自律神経のバランスを崩す

緊張すると、心臓がドキドキしたり、手足が震えたりすると思いますが、これは体の働きをコントロールする自律神経が変調を起こすからです。私たちが何らかのストレスを心身に感じて緊張すると、自律神経が働き、ホルモンが異常に分泌されます。

ストレスはさまざまな病気のもとになるものですから、こうしたことを防ぐためにも、ストレスの原因を見つけ、早めに取り除くことが大切です。

食べることでのストレス解消は中性脂肪の増加につながる

心配な事、不安な気持ち、人間関係など、日常生活の中にはストレスの種が溢れています。現代社会では、ストレスがまったく無い生活を送ることは困難ですから、ストレスをかかえたら解消することが重要になります。

ストレスの解消法は人それぞれあると思うのですが、「やけ食い」をすることは良くありません。「やけ酒」も同じです。

親しい人たちと楽しく食べたり飲んだりすることはストレス解消に役立つのですが、ストレス解消が目的で食べたり飲んだりすると、量が多すぎてカロリーオーバーになってしまいます。余分なエネルギーは中性脂肪となって体にたまり、高トリグリセライド血症や高脂血症を引き起こすことになります。
現代人のストレス

糖質は脂肪が蓄積されにくい穀類・芋類から摂ると良い

糖質は重要なエネルギー源

糖質ときくと砂糖などの甘いものをまず思い浮かべると思いますが、それだけでなく、ごはんやパンをはじめとした主食に多い穀類や芋類に含まれている「でんぷん」も糖質の一種です。また、果物に含まれている果糖や牛乳などに含まれている乳糖も糖質の仲間です。

糖質は私たちの体のエネルギー源となる、とても大切な栄養素です。摂取した糖質のほとんどは肝臓でブドウ糖となり、血液といっしょに全身をめぐって各組織でエネルギーとして消費されます。特に、脳ではブドウ糖がおもなエネルギー源です。

エネルギーにならないものはグリコーゲンとして肝臓や筋肉に蓄えられたり、中性脂肪として蓄えられ、エネルギーが不足するとそちらへ回されエネルギー源となります。

糖質の1日の必要摂取量とは

1日に必要な糖質の摂取量は、次のようになります。
個人の年齢や性別、活動レベルなどによってエネルギーの必要量は違ってきますが、たとえば、1日の総エネルギー摂取量が2,000キロカロリー必要な人の場合には、その60パーセントほどの1,200キロカロリーを糖質から摂取するのが望ましいといわれています。

吸収されるのに時間がかかる穀類や芋類なら脂肪がたまりにくい

ごはんやパン、めん類などの穀類をはじめ、さつまいもやじゃがいも、さといもなどの芋類、トウモロコシ、栗などは、デンプンが主成分です。糖質にはいくつかのタイプがあるのですが、多糖類のでんぷんは、消化酵素によって分解されてから吸収されるのがゆっくりなタイプの糖質で、ブドウ糖や砂糖の主成分であるショ糖などと比べると、それほど脂肪の増加につながらないのです。

穀物なら糖質だけでなく、食物繊維も多くて、各種ビタミンやミネラル、タンパク質といった栄養素も含まれています。芋類にも食物繊維やビタミンCが多く、カリウムも含まれているので、血圧が高くなるのを防いでくれます。

砂糖は吸収が速く脂肪に変わる

ブドウ糖やショ糖は、多糖類と比べると比較的に消化・吸収されるスピードが速く、摂取してから30分ほどで血糖値が上昇します。余分な糖質はというと、中性脂肪に変化して体内に蓄積され、肥満のもとになるのです。

菓子類や清涼飲料水などにはブドウ糖やショ糖が多く含まれているので、エネルギーを摂り過ぎないためには、できるだけ糖質は穀類や芋類から摂取すると良いでしょう。ショ糖の摂り過ぎは高トリグリセライド血症の原因にもなります。

高カロリーなアルコールと上手につき合う

アルコール類のエネルギー

アルコールは一般に高カロリーな飲みものです。そして、アルコールのお供のおつまみにもカロリーの高いものが多くなっています。
少量のアルコールがHDL(善玉コレステロール)を増やすことはわかっていますが、毎日のように飲んでいるという人は、エネルギーの摂り過ぎに注意しなければなりません。アルコールから摂取するエネルギー量は、1日の適正な摂取エネルギー量の1割ほどに抑えるようにしましょう。

例えば、健康な成人で、1日の摂取エネルギーが2,000キロカロリーの人のエネルギー量の1割というと、アルコールの場合、ビールで中ビン1本くらい、日本酒なら1合くらいになります。そこにおつまみの分が増えるので、エネルギーもさらに増します。

自分で飲むアルコールと食べるおつまみのカロリーを知っておき、上手につき合っていきましょう。

エネルギーを摂り過ぎないためのアルコールの上手な飲み方

体の事が心配だけどおいしくお酒が飲みたい、どうしてもお酒をやめられない、という人もいるかもしれません。そんな人は、次のような飲み方を心がけて、楽しくお酒を飲みましょう。

まずはアルコールの適量を守ることが大事になります。アルコール度数の高い強いお酒なら、薄めて飲みます。おつまみは、できるだけ栄養のバランスを考えて、カロリーが低く、タンパク質やビタミン、ミネラルがしっかり含まれているものをつまみながら、時間をかけてゆっくりとお酒を飲むとよいでしょう。

飲み方のポイント

  • ゆっくり時間をかけて飲む
  • 楽しい雰囲気で飲む
  • おつまみを食べながら飲む
  • 適量を守って飲む
  • 強いお酒は薄めて飲む
  • 夜の12時を超えないように飲む

そして、1週間のうち2日は休肝日をつくりましょう。
中性脂肪を増やさないためにもアルコールの飲み過ぎに注意