動脈硬化とはどんな状態か

血液中の脂質が異常に増えた状態である高脂血症(脂質異常症)は、動脈を硬化させる原因になります。血清脂質の異常を早期に発見することが大切ですが、では、動脈硬化とはどういったものなのでしょうか。

動脈の構造

人間の体内には動脈と静脈という血管が張り巡らされています。動脈は心臓から送り出される血液を全身に運ぶ経路で、静脈は末梢組織から心臓へと戻ってくる経路です。動脈には心臓から送られた酸素や栄養を全身の組織へと運ぶ血液(動脈血)が流れていますが、この動脈血には高い圧力がかかっていて、動脈自体が弾力のある筋肉の管になっています。

動脈は、血管径の大きさと中膜の弾性線維の量から、大動脈などの大型動脈、冠動脈などの中型動脈、直径2ミリ以下で臓器の中にある小型動脈に分けられます。そして、血管の内側から順に、内皮細胞、内膜、内弾性板、中膜、外弾性板、外膜で構成されています。

動脈硬化の状態は

動脈硬化とは、文字どおり、動脈の壁が硬く変化してしまったことをいいます。血管の壁が厚くなり、血管そのものの弾力が無くなってしまい、血管がもろくなった状態です。

初期には症状が現れず、動脈の硬化の程度が進んで悪化してくると肩こりや頭重を感じるようになり、胸が痛んだりするようになります。

動脈硬化が起こる原因は、動脈の場所によって異なるのですが、高脂血症(脂質異常症)が原因となって起こる動脈硬化を粥状(じゅくじょう)硬化といいます。この粥状硬化は、心筋梗塞や脳梗塞といった恐ろしい病気を引き起こします。胸部大動脈や冠動脈などの大型・中型の動脈に起こり、血管にアテロームと呼ばれる瘤(こぶ)をつくります。

粥状硬化のほかにも、石灰化を起こし糖尿病の人に多く見られる中膜硬化や、高血圧と関係が強い細小動脈硬化があります。

動脈硬化が起こす成人病

動脈硬化は全身の動脈で起こり、さまざまな成人病の引き金となります。動脈硬化が大きな原因のひとつだと考えられている成人病には、狭心症や心筋梗塞、脳出血や脳梗塞、高血圧症、糖尿病、腎臓病などがあります。

動脈硬化にならないようにするには、食事や運動といった日常生活の改善が必要になります。

血清脂質は加齢とともに増加する

男性は中年になると血清脂質が増加

血清脂質は普通、年齢を重ねるに連れて増加してくるものですが、男性の場合は特に、30歳を過ぎた頃から急に中性脂肪やコレステロールが増えてきます。そして、60歳ぐらいまでの間に、血清脂質は20~30mg/dlも増加します。その後70歳ぐらいには減少していくことがわかっています。

また、中年の男性が太ってきた時は、高コレステロール血症や高トリグリセライド血症になる可能性があります。このことから、男性は、定期的に血清脂質や血圧の検査を受けるとよいでしょう。それから、中高年を迎えた男性は、動脈硬化や狭心症、心筋梗塞などの病気の危険性が高まりますから、日頃から血清脂質の変動に注意しておき、食事や生活習慣にも気をつけましょう。

女性は閉経後に血清脂質が増加

女性の場合、普通、思春期から閉経期ぐらいまでは、男性と比べると血清総コレステロール値や血清トリグリセライド値は低く、血清HDLコレステロール値が高くなるので、動脈硬化たや高脂血症(脂質異常症)になる割合は低くなります。

ただ、その後、閉経期を迎える50歳前後になると、エストロゲンという女性ホルモンの働きが低下するため、急に血清コレステロール値が高くなります。また、中性脂肪も増えるので、高トリグリセライド血症にもなりやすくなってくるのです。

妊娠した女性がコレステロールの値が高くなることがありますが、これはホルモンのアンバランスによる一時的なものです。しかし、異常に高い数値が続く場合には、治療しなければならない可能性があります。
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血管の老化は生活習慣によって差が出る

人間の体の老化の速度が特に早いのが血管です。血管の老化は、脳や心臓にも影響を及ぼし、老化を早めます。このように、老化現象というのは、細胞が活発に活動している脳、心臓、血管から早く始まります。

私たちの血管の老化は、母親の胎内にいる頃から既に始まっています。誕生後にもそれはずっと続き、たいてい中年以降にその影響が大きく現れることになります。

ただ、血管の老化の進行のしかたや程度は、個人個人の食生活や生活習慣に大きく影響されます。老齢の人でも血管が若々しい人もいるし、その逆の人もいます。このことから、人は血管とともに老いるといわれ、血管年齢を若く保つことが健康の秘訣だということがわかります。

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高脂血症の原因となるもの

高脂血症は、原因不明や遺伝的な要素によって起こる「原発性高脂血症」と、別の病気の影響などによって起こる「続発性(二次性)高脂血症」に分けられます。高脂血症(脂質異常症)が起こる原因には、遺伝的な要因と、別の病気や薬剤の服用によるもの、そして、生活習慣の乱れがあります。

遺伝による「原発性高脂血症」

原発性高脂血症とは、検査をしても原因がはっきりしないのに、コレステロールや中性脂肪の値が高い状態の高脂血症のことをいいます。この場合、遺伝的な体質に原因があるとされています。中には血清脂質やリポたんぱくの合成、代謝に障害があって遺伝性ではないケースもありますが、ひとつの家族に高脂血症の発症が特異的に同じようにみられる遺伝性のあるケースが多くなっています。

次に挙げるのは原発性高脂血症のタイプです。

  1. 原発性高カイロミクロン血症
  2. 家族性Ⅲ型高脂血症
  3. 家族性複合型高脂血症
  4. 内因性高トリグリセライド血症

家族性の高脂血症の場合、LDL受容体が遺伝的に不足しているためにLDLコレステロールが血液中にいつまでも停滞してしまい、血清コレステロール値が300~400mg/dlぐらいに上がっています。

別の病気などによる「続発性高脂血症」

続発性(二次性)高脂血症とは、肝臓や腎臓などの病気によって、二次的に起こる脂質代謝の異常をいいます。そのほか続発性高脂血症を引き起こす病気には、糖尿病や肥満などの代謝異常、甲状腺機能障害や下垂機能障害など内分泌系の病気、自己免疫疾患などがあります。また、こういった病気以外にも、利尿剤やステロイドホルモン剤などの薬の服用、脂質の多い食事やアルコールの摂り過ぎも続発性高脂血症の原因となります。

現在健康だとしても、近親者に高脂血症の人がいる場合には、将来、家族性の高脂血症になる可能性があるので、食習慣、生活習慣に気をつけなければなりません。

食事、生活習慣に注意する

高脂血症では、普段の食事のしかたや生活習慣が原因となるケースが多くあります。脂肪分の多い食事はもちろん、全体量の食べ過ぎ、カロリーの高い食事やアルコールの飲み過ぎなどのエネルギー過多にはじゅうぶん注意しましょう。このタイプの人は肥満であることが多いので、血液中のコレステロール値や中性脂肪値を減らすには、まずは肥満を改善する必要があります。

運動不足によって高脂血症が起こるケースもよくあります。日常生活での運動不足は、体力を衰えさせるだけでなく、コレステロールや中性脂肪を溜め込むことにもつながります。食事で摂取したエネルギーを消費するには、体を動かすのが一番です。運動すると全身の血行が良くなるので、中性脂肪やVLDLの分解が早まり、善玉のHDLが増えます。

食後の高脂血症

食後高脂血症とは

食事をすることによって摂取された油脂(脂質)は、しばらくはカイロミクロンとして血液中に在ります。このカイロミクロンは、リパーゼという酵素によって消化分解され、たいてい3時間くらいで消えていくのですが、それからしばらく時間が経っても消化されずに残ってしまうと、カイロミクロンの消化カスとして「カイロミクロンレムナント」になります。

レムナントというのは残り物というような意味なのですが、これが血液中に残っていることがあり、この状態は「食後高脂血症」といわれます。高脂血症のタイプのうち、カイロミクロンの値が高くなるⅠ型とⅤ型に見受けられる症状です。

血液中に、コレステロールを含んだカイロミクロンレムナントがいつまでも存在していると、マクロファージ(大食細胞)がこれらを取り込んで、動脈の壁にコレステロールが沈着していき、動脈硬化を引き起こすこととなります。

マクロファージは、私たちの体のさまざまな場所に存在している白血球の一種です。血液中の細菌や異物を飲み込んで、血液を正常な状態に保つ大切な働きをしています。

カイロミクロンレムナントはコレステロールを含んだ小粒子ですが、血液の中に5mg/dl以上残っていると、細胞(マクロファージ)が吸収し、コレステロールが動脈の壁に溜まっていきます。

食後高脂血症は、食事から摂取された中性脂肪が、消化酵素の力で十分に消化されないために起こるものです。体質も関係しているようですが、脂質や糖質、アルコールの摂り過ぎも原因となっています。

高脂血症は血液の脂質異常

高脂血症とは

「高脂血症」(脂質異常症)は、血液中に溶けている中性脂肪やコレステロールなどの脂質の値が高く、異常な状態です。これは、脂質や糖質の摂り過ぎが原因となって起こった、血液の脂質異常です。そして、高脂血症の中でも、中性脂肪の値が異常に高い状態を「高トリグリセライド血症」、コレステロールの値が異常に高い状態を「高コレステロール血症」といいます。

高脂血症は、いつの間にか高脂血症になっていて、特に自覚する症状も無く、普段の生活にもほとんど支障がありません。ですから、健康診断の血液検査などで判明することが多く、かなり進行しているケースもあるのです。

高脂血症のタイプは6つ

高脂血症は、脂質(リポたんぱく)の増加の状態により6つのタイプに分けられます。
【タイプⅠ】・・・特にカイロミクロンが増加し、中性脂肪値が非常に高い。
【タイプⅡa】・・・LDLだけが増加していて、中性脂肪値は正常。遺伝性である。
【タイプⅡb】・・・VLDLとLDLが増加し、中性脂肪値が高い。
【タイプⅢ】・・・特にLDLが増加し、コレステロール値と中性脂肪値がどちらも高い。
【タイプⅣ】・・・VLDLが増加していて、中性脂肪値が高い。
【タイプⅤ】・・・カイロミクロンとVLDLが増加し、中性脂肪値が高い。

血液中に中性脂肪が増えすぎの「高トリグリセライド血症」

高脂血症というと、一般によく知られているのは「高コレステロール血症」ですが、もうひとつ、「高トリグリセライド血症」も問題となっています。高トリグリセライド血症は、特に中性脂肪の値が高い状態です。判断基準値は、150mg/dl以上です。高脂血症や動脈硬化を解消するには、コレステロールだけでなく、中性脂肪にも注意が必要だということです。

日本人の男性には、この高トリグリセライド血症の人が近年非常に増えているといわれています。これには、アルコールや肥満が大きく影響しているようです。

血液中にコレステロールが増えすぎの「高コレステロール血症」

「高コレステロール血症」は、高脂血症のうち、特に血清コレステロールの値が高い状態です。判断基準値は、220mg/dl以上となっています。
 ※2007年に改められた基準値では、『高LDLコレステロール血症』・・・LDLコレステロールが140mg/dl以上、『低HDLコレステロール血症』・・・HDLコレステロールが40mg/dl未満とされています。

食生活などが欧米化したため、日本でも高コレステロール血症になる人が増えています。糖尿病を患っている人の中に、特に多く見られます。